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2024 年 12 月、日本の大麻をめぐるルールは、約 75 年ぶりに大きく作り替えられた。使用が処罰の対象になる一方で、大麻由来の医薬品を使える道が開いた。さらに 2026 年 6 月には、市販製品に含まれていた成分 CBN指定薬物となり、原則として市場から姿を消した。

これらは別々のタイミングで、別々の切り口で報じられたため、「結局いま、何がどうなっているのか」が見えにくい。この記事は、時系列と法令名にそって、日本の大麻ルールの現在地を一枚に整理する。個別の使用や製品を勧めるものではなく、あくまで制度の地図として読んでほしい。

この記事の要点

  • 大麻は 2024 年 12 月から 麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)上の「麻薬」 として扱われ、使用(施用)も処罰対象になった
  • 同時に、大麻草由来の医薬品が医師の処方のもとで使えるようになった(制度は開いたが、実際の承認・流通はこれから)
  • CBD は THC の残留基準以下なら流通できる一方、CBN は 2026 年 6 月 1 日から原則禁止になった

1. 大麻が「麻薬」になった(2024年12月12日)

いちばん大きな変化は、大麻の法律上の位置づけが変わったことだ。

2023 年に成立した改正法(令和 5 年法律第 84 号)により、これまでの 大麻取締法「大麻草の栽培の規制に関する法律」 へと改称された。そして大麻は、あへんや覚醒剤などと同じく 麻薬及び向精神薬取締法(麻向法) の規制する 「麻薬」 として位置づけ直された。この部分は 2024 年 12 月 12 日 に施行されている。

これにより、大麻の 所持・譲渡に加えて、「使用(施用)」も処罰の対象 になった。医療目的で医師から処方された場合を除き、大麻を使用することは違法であり、法定刑は 7 年以下の拘禁刑(営利目的などでは加重される)とされる。

よくある誤解:「大麻取締法に使用罪が新設された」

報道でもしばしば見られる表現だが、これは正確ではない。大麻取締法という法律の中に「使用罪」という条文が足されたわけではない。実際には、大麻が麻向法上の「麻薬」に移された結果、麻薬に対する施用の禁止・罰則が大麻にも及ぶようになった、という整理である。呼び名として「大麻使用罪」と語られることはあるが、根拠法は 麻向法 だという点が正確な理解になる。

2. 医療の扉が開いた(2024年12月12日)

同じ 2024 年 12 月 12 日には、逆方向の変化も起きている。大麻草から製造された医薬品を、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を前提に、医師の処方のもとで使用できるようになった。

背景には、海外で難治性てんかんの治療薬として承認されている CBD 製剤(エピディオレックス) のような、大麻草由来医薬品の存在がある。従来の日本の法律では、こうした医薬品の施用自体が難しかった。今回の改正は、その 制度上の入口 を開いたものだ。

ただし注意したいのは、「制度が開いた」ことと「実際に薬局で手に入る」ことは別だという点だ。国内での承認や流通はこれから進む段階にあり、現時点で使える大麻草由来医薬品はごく限られる。本記事は特定の医薬品の効果を断定するものではなく、医療上の判断は必ず医師・薬剤師に相談してほしい。

3. 「大麻とは何か」の線引き:THC残留限度値(2024年12月12日)

CBD 製品を扱ううえで実務的に重要なのが、THC の残留限度値の導入だ。

改正前は「大麻草のどの部位に由来するか」で規制対象かどうかを判断していたが、改正後は 製品に含まれる Δ9-THC の濃度 を基準に「大麻」に当たるかを判定する方式に整理された。厚生労働省が定めた残留限度値は次のとおり。

  • 油脂・粉末:10 ppm
  • 水溶液:0.10 ppm
  • その他:1 ppm

この基準を 超えなければ、CBD 製品などは引き続き流通できる。逆に基準を超える THC を含む製品は「大麻(麻薬)」として扱われることになる。市販の CBD オイルやグミなどは、この枠組みの中で販売されている。

4. 栽培ルールの再編(2025年3月1日)

改正のうち、大麻草の栽培に関する規定 は、少し遅れて 2025 年 3 月 1 日(令和 7 年)に施行された。

新たに、栽培の目的に応じた免許区分が設けられている。

  • 第一種大麻草採取栽培者:繊維・種子の採取など(産業用途)を目的とする栽培
  • 第二種大麻草採取栽培者:医薬品の原料などを目的とする栽培

さらに、栽培に用いる種子は Δ9-THC 濃度が 0.3% 以下 の大麻草から得られたものに限定されるなど、「高 THC の草を作らせない」 方向での管理が強められた。産業用ヘンプと嗜好用を制度として区別する動きといえる。

5. CBNが指定薬物になった(2026年6月1日)

そして 2026 年、市販の CBD 関連製品を扱ってきた人にとって大きかったのが、CBN(カンナビノール) の規制だ。

厚生労働省は 2026 年 3 月 18 日 に、CBN を 医薬品医療機器等法(薬機法)上の「指定薬物」 に指定する省令を公布し、2026 年 6 月 1 日 に施行した。これにより、一部の医療用途を除き、CBN を含む製品の製造・輸入・販売・所持・使用 などが原則禁止となった。

これまで CBN は、グミ・オイル・ベイプ・菓子などの形で国内でも流通していた。指定薬物化によって、これらは市場から姿を消すことになる。

  • 罰則:個人での違反は 3 年以下の拘禁刑または 300 万円以下の罰金。業として行った場合は 5 年以下の拘禁刑または 500 万円以下の罰金とされる
  • 例外:難治性の疾患などで代替手段がない患者については、医療機関の診断書を提出し「指定薬物の用途に係る確認書」の交付を受けることで、使用の継続が認められる場合がある
  • 手持ち製品:厚生労働省は、施行後は使用等が禁止されることを踏まえ、保有する CBN 製品の廃棄を呼びかけている

なお、指定薬物という枠組みは 「濫用のおそれと保健衛生上の危害の防止」 を目的とする規制上の分類であり、本記事はこの成分の健康影響そのものを評価するものではない。ここで扱うのは、あくまで 規制の事実 である。

いま押さえておくべき3点

制度の細部は複雑だが、日常的に必要な理解は次の 3 点に集約できる。

  1. 使用は違法。医師の処方による医療目的を除き、日本国内で大麻を使用することは麻向法のもとで処罰の対象になる(2024 年 12 月〜)
  2. CBD と CBN は扱いが違う。CBD 製品は THC 残留基準以下であれば流通できるが、CBN は 2026 年 6 月 1 日から原則禁止になった
  3. 医療利用は「入口が開いた」段階。大麻草由来医薬品の制度上の道は開いたが、実際に使える承認品はこれから広がる

大麻に関する日本の情報は、「解禁が進んだ」という面と「規制が強まった」という面が 同時に 動いているため、どちらか一方だけを見ると全体像を見誤りやすい。使用の厳格化・医療の解禁・成分ごとの線引き という三つの流れを分けて捉えることが、正確な現在地の把握につながる。

出典

出典 — Sources

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