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米国の医薬品規制当局 FDA(食品医薬品局)2018 年 6 月 25 日、大麻草由来の成分 CBD(カンナビジオール) を主原料とする医薬品 Epidiolex(エピディオレックス)を、特定の難治性てんかんの治療薬として承認した。米国で初めて「大麻草由来の有効成分を含む医薬品」が FDA の正規承認を得た 歴史的な事例で、その後の各国の医療大麻・CBD 規制議論で繰り返し参照されている。

ざっくり言うと

  • 何が起きたか — 大麻草の成分 CBD を主原料にした、世界初の難治性てんかん治療薬が 2018 年に米国で正式承認された
  • なぜ重要か — 大麻関連成分が「怪しい代替療法」から「正規の医薬品」へと位置を変えた、医療承認の分水嶺
  • 日本との関係 — 日本でも CBD は規制薬物に該当しないため、Epidiolex の承認情報は国内 CBD 製品・医療研究の議論で参照される

何が起きたか

承認の概要

  • 承認日: 2018 年 6 月 25 日
  • 製品名: Epidiolex(有効成分: 植物由来の高純度カンナビジオール経口液剤)
  • 開発企業: 英国の GW Pharmaceuticals(後に米国 Jazz Pharmaceuticals が買収)
  • 初期適応: ドラベ症候群(Dravet syndrome) および レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome) に伴うてんかん発作(2 歳以上)
  • 2020 年: 結節性硬化症(Tuberous Sclerosis Complex、TSC) に伴うてんかん発作が適応に追加

規制スケジュールの変遷

  • 承認当初、Epidiolex は連邦規制薬物法(CSA)上で 当初はスケジュール分類が必要 とされ、2018 年 9 月に DEA が Schedule V(最も規制の緩い分類)に指定
  • 2020 年 4 月、DEA は Epidiolex を 規制物質リストから除外(descheduled) — 純度・含有プロファイルの管理を理由に、規制薬物の枠組みから外れた
  • これは「大麻草由来でありながら連邦規制薬物ではない医薬品」という前例を作った

臨床的根拠

承認は 複数のランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT) に基づく。代表的なものに、ドラベ症候群を対象とした Devinsky らによる 2017 年の臨床試験(New England Journal of Medicine に掲載)があり、CBD 群でプラセボ群と比較して発作頻度の有意な減少が報告された。詳しくは別記事「論文解説: Devinsky らの CBD・ドラベ症候群 RCT」を参照。

背景

GW Pharmaceuticals の開発経緯

GW Pharmaceuticals は英国を拠点に、大麻草由来の医薬品開発を専門としてきた企業。同社は Epidiolex に先立って、THC・CBD をほぼ 1:1 で含む口腔粘膜スプレー Sativex(ナビキシモルス) を多発性硬化症に伴う痙縮(けいしゅく)の治療薬として複数国で承認取得していた(英国 2010 年など)。

Epidiolex は 精製された単一カンナビノイド(CBD) を有効成分とする点で、複数成分を含む大麻製剤とは規制上の扱いが異なる。この「単一成分・高純度・医薬品グレード」という設計が、FDA の正規承認を可能にした要因の一つとされる。

患者団体の運動

ドラベ症候群・レノックス・ガストー症候群は、いずれも 小児期に発症する重篤で治療抵抗性のてんかん症候群。既存の抗てんかん薬で十分な発作抑制が得られない患者・家族からの アクセスを求める声 が、米国・英国で承認プロセスを後押しした社会的背景として報じられている。

関連する論点・影響

医療応用への意義

  • 大麻草由来成分が医薬品として正規承認された前例 として、各国の規制当局・製薬企業が参照
  • 一方、Epidiolex は 特定の難治性てんかん症候群に限定 された承認であり、「CBD が一般的な健康効果を持つ」ことを示すものではない点が、FDA・専門家により繰り返し強調されている
  • 市販の CBD サプリメント・食品とは 品質・用量・エビデンスの水準が根本的に異なる

CBD 製品市場との区別

  • FDA は、Epidiolex 承認以降も、治療効能を標榜する市販 CBD 製品 に対して継続的に警告書を発出してきた
  • 「FDA 承認の CBD 医薬品が存在すること」と「市販 CBD 製品の安全性・有効性が確立していること」は 別問題 であり、混同しないよう公衆衛生当局が注意喚起している

日本との関係

  • 日本では 2024 年改正大麻取締法 により、大麻草由来医薬品の臨床利用への枠組みが整理されたとされ、Epidiolex 等の難治性てんかん治療薬の国内導入が議論の対象となっている(運用は施行後の通達による)
  • 日本国内で承認・流通していない医薬品の個人輸入・使用には、薬機法・大麻取締法・関連法令上の制約があり、医療上の判断はかかりつけ医・専門医に相談すべき

出典

出典 — Sources

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