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品種図鑑 インディカ Type I (THC 優位)

Master Kush — 名前を二度変えたアムステルダムの定番インディカ

· 更新

品種データシート

系統
インディカ
化学型
Type I (THC 優位)
THC
15-20%
CBD
<1%
由来
オランダ・アムステルダム(White Label Seed Company / Sensi Seeds)
親系統
Hindu Kush (アフガニスタン側) × Hindu Kush (インド側)
主要テルペン
#myrcene#caryophyllene#limonene
風味
白檀ハシシほのかな柑橘
効果傾向
深いリラックス身体の重さ多幸感眠気

Master Kush(マスター・クッシュ)は、ヒンドゥークシュ山脈の東西から集めたランドレースを、アムステルダムの育種家が掛け合わせて生まれた インディカ優勢の定番株である。土と白檀、そしてハシシを思わせる香りで知られ、1990 年代のアムステルダムのコーヒーショップを通じて世界に広まった。

名前は当初 High Rise(ハイライズ)だった。育種が行われた高層ビルにちなむとされ、後に Master Kush へ改められている。

ひとことで言うと

ヒンドゥークシュの東西を一株にまとめた、アムステルダム産のクッシュの基準点。派手さより、香りの濃さと身体に来る重さで長く支持されてきた。

概要

Master Kush を作出したのは、オランダの White Label Seed Company(Sensi Seeds の系列ブランド)である。育種家の説明によれば、ヒンドゥークシュ山脈に由来する 2 つのランドレース——インド側アフガニスタン側、山脈をはさんで反対側から来た系統——を掛け合わせたものだという。

**系譜には二つの説がある。**育種元は上記のとおり「クッシュ系ランドレース同士の交配」と説明しているが、品種データベースや小売の解説では Hindu Kush × Skunk #1 と記載されることも多い。どちらが正確かは決着していない。品種の来歴が売り手の語りと使い手の語りの両方で伝わってきた、この分野ではありふれた状況である(ランドレースそのものについては「ランドレースとは何か」を参照)。

受賞歴についても情報源によって記述が異なる。育種元の商品説明が明示しているのは 2004 年のハイライフ・カンナビス・カップ(オランダ・ユトレヒト) での受賞である。一方で品種データベースの類は 1992 年・1993 年のハイタイムズ・カンナビス・カップや 1994 年のハイドロ部門 1 位を挙げるが、これらは一次資料での確認が取れていない。

形態と特徴

  • 系統バランス: インディカ優勢(育種元は「95% インディカ」と表記)
  • 草姿: 背が伸びにくく、開花期の伸長が小さいコンパクトな株。屋内栽培で扱いやすい古典的なインディカ型
  • 開花期間: 50〜55 日とされる
  • 見た目: 締まった濃い緑のつぼみに、厚く樹脂がのる
  • 香り: 土 × 白檀 × ほのかな柑橘。育種元は「黒いチャラス(ハシシ)を思わせる」と表現している

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: おおむね 15〜20% 程度(情報源により 16% 前後から 20% 超まで幅がある。栽培条件・個体差が大きい)
  • CBD: 1% 未満

化学型は Type I(THC 優位) に分類される。数値は市販の検査結果や品種データベースの集計に基づくもので、標準化された測定ではない点に注意が必要だ。

主要テルペン

テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Master Kush で報告される主なものは次のとおり:

  • ミルセン(myrcene): 土っぽさの中心。この品種で最も多いとされる
  • カリオフィレン(caryophyllene): 胡椒のようなスパイス感
  • リモネン(limonene): 奥にわずかに感じられる柑橘

「土 × ハシシ × ほのかな柑橘」という香りの印象は、この構成によるものとされる。テルペンと受容体の関係は「テルペンとカンナビノイド受容体活性化(前臨床研究)」も参照。

効果プロファイル(報告されている傾向)

インディカ優勢の品種として、以下の傾向が報告されている:

  • 深いリラックスと、身体が重くなる感覚
  • 育種元は「身体は心地よく重くなる一方、頭は比較的はっきりしたまま」と表現している
  • ユーザーレポートの集計では リラックス・多幸感・眠気が上位に挙がる
  • 夜間・就寝前の時間帯に語られることが多い

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • 痛み
  • 不眠
  • ストレス・気分の落ち込み

これらは Δ9-THC の薬理作用と、テルペン構成の組み合わせとされる。大規模臨床試験で確立された治療効能はない

副作用(報告されているもの)

  • 口渇・眼の乾燥
  • めまい・強い眠気
  • 高 THC 品種一般と同様、多量摂取時の不安感

派生・関連品種

  • 親系統: Hindu Kush 系のランドレース。近縁の Afghani とも同じ山域の遺伝子を共有する
  • 系譜の別説では Skunk #1 が交配に関わったとされる
  • 「クッシュ」を名乗る系統群の初期の代表格の一つで、Bubba Kush など後年のクッシュ系品種と並べて語られることが多い

文化的意義

  • 1990 年代のアムステルダムのコーヒーショップ文化を象徴する品種の一つ。オランダの育種家が中央アジアのランドレースを持ち込み、屋内栽培向けに整えるという、この時代の育種の典型例にあたる
  • High Rise から Master Kush へという改名は、品種名がしばしば技術的な内実ではなく 流通上のブランディングで決まることを示す例でもある
  • 系譜が今も二説あるという事実は、大麻品種の記録が長く非公式な形でしか残せなかったという歴史そのものを反映している

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Master Kush は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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