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品種図鑑 産業用ヘンプ Type III (CBD 優位)

とちぎしろ — 日本固有の低 THC 産業用ヘンプ品種

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品種データシート

系統
産業用ヘンプ
化学型
Type III (CBD 優位)
THC
<0.3%
CBD
1-3%
由来
日本・栃木県農業試験場鹿沼分場(高島大典主導、栃試 1 号 × 九州 CBDA 型の交配)
成立年
1982
主要テルペン
#myrcene#pinene#caryophyllene
風味
草本・ハーブ木の質感

とちぎしろ は、栃木県農業試験場鹿沼分場(高島大典氏主導)が在来麻と九州由来の CBDA 型を交配して選抜育種 した、THC をほとんど含まない(約 0.2%、国際的な産業用ヘンプ基準の 0.3% を下回る)日本固有の 産業用ヘンプ品種1982 年に種苗登録を申請 して以来、神事用麻・繊維・建材・食品原料 として栽培されており、日本の伝統的な麻栽培を現代に継承する中核的な品種となっている。

ひとことで言うと

日本固有の産業用ヘンプ品種。神事・繊維・建材・食品など、嗜好用ではなく実用目的で栽培されてきた、日本の伝統的な麻栽培の現代版

概要

とちぎしろは「精神作用を持たない大麻」として育種された日本独自の品種である。1948 年大麻取締法のもとで栽培が認可制となった後、文化財保護と産業利用を両立させるため、THC 含有量を法的基準以下に抑えた品種開発 が栃木県を中心に進められた。

特徴:

  • 完全な低 THC 品種: Δ9-THC 0.3% 未満で、嗜好用としての価値はほぼない
  • 栃木県の伝統的麻栽培の継承: 神事用麻・繊維素材として現役で使われる
  • THC 含有量基準を満たす品種 として、大麻取締法の認可栽培で利用可能

詳しくは別記事「栃木県の野州麻 — 日本の伝統的麻栽培の継承」「神道と麻」を参照。

形態と特徴

  • 樹高: 高い(2-3 m に達する典型的な産業用ヘンプ)
  • 生育期間: 約 4-5 ヶ月(春播き、夏〜秋収穫)
  • : 細長い掌状葉(産業用ヘンプ典型)
  • 花穂: 細長く、樹脂産出は低い
  • 耐寒性: 日本の温帯気候に適応

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: 0.3% 未満(品種登録時点での選抜基準。日本国内では大麻取締法のもとで管理される基準値)
  • CBD: 1-3%(産業用ヘンプとしては中程度)
  • CBG: 微量

主要テルペン

  • ミルセン(myrcene): 土的・ハーブ感
  • α-ピネン(pinene): 松・草本的清涼感
  • β-カリオフィレン(caryophyllene): スパイシー

産業用ヘンプ品種として、樹脂産出は低く、テルペン濃度も嗜好用品種より低い。

用途と継承

とちぎしろは現代日本において、以下の用途で利用されている:

神事用麻

  • 伊勢神宮の御料麻: 伊勢神宮で使われる神聖な麻素材
  • 各地の神社の注連縄: 注連縄の芯材または主材
  • 神具: おおぬさ(振り祓いに用いる神具)の麻繊維

詳しくは別記事「神道と麻」を参照。

繊維

  • 麻織物・麻紐: 伝統工芸品の素材
  • 不織布・産業繊維: 自動車内装材、建築用資材

食品

  • ヘンプシード(麻の実): 残留 Δ9-THC が 2024 年 12 月 12 日施行の改正法の限度値(粉末 10 ppm 等)を満たす条件で食品として流通
  • ヘンプシードオイル: 食品・化粧品原料

建材

  • ヘンプクリート建築: 茎の芯部(ヘンプハード)を建材として活用する研究が進む(別記事「ヘンプクリート建築」参照)

CBD 原料

  • CBD オイル原料: 2024 年 12 月 12 日施行の改正法のもとで定められた製品形状別の Δ9-THC 残留限度値(油脂・粉末 10 ppm、水溶液 0.10 ppm、その他 1 ppm)を満たす CBD 製品の原料として、用途別供給チェーンが整備されつつある

効果プロファイル

とちぎしろは Δ9-THC が 0.3% 未満 で、精神作用(ハイ)はほぼ生じない。CBD を含むものの、産業用品種としての利用が前提 で、医療目的の効果プロファイルを論じる文脈では Charlotte’s Web のような高 CBD 医療品種とは別物として扱われる。

研究文脈での言及:

  • CBD オイル原料 としての品質は CBD 含有量(1-3%)に依存
  • 嗜好用としての価値はない(THC 不在)
  • 食品ヘンプシードの安定供給品種 として位置づけられる

育種の経緯

栃木県は 江戸時代以前から続く伝統的麻栽培地 として知られ、戦前は数千軒規模の栽培者がいた。1948 年大麻取締法以降、栽培認可制のもとで栽培者数は減少したが、神事用・産業用麻栽培の継続 が文化財保護の観点から維持された。

栃木県農業試験場鹿沼分場 は、1974 年から低 THC 品種の開発研究を進め、1982 年にとちぎしろの種苗登録を申請 した(基礎研究は九州大学の西岡五郎教授らによる CBDA 型大麻の発見に依拠)。これにより、伝統的麻栽培の継承と現行法の遵守を両立させる枠組みが確立した。

2024 年改正大麻取締法以降

2024 年改正大麻取締法のもとで 産業用ヘンプ栽培の認可制度が再整理 されたことで、とちぎしろの栽培認可枠組みも整備された。栃木県外(北海道・長野県・群馬県など)での栽培事例も拡大していると報じられている。

詳しくは別記事「日本の産業用ヘンプ栽培認可、2024 年改正法のもとで具体化進む」を参照。

文化的意義

とちぎしろは、日本の麻文化の現代的継承の象徴 として位置づけられる:

  • 神道・神社文化の素材供給
  • 文化財関連の素材(無形文化財として登録された麻栽培技術と関連)
  • 産業用ヘンプの国産化のキーとなる品種

栃木県は 日本における産業用ヘンプ栽培の中心地 として、品種開発・栽培技術・伝統工芸の継承を一体的に進めている。

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令により規制 されている。とちぎしろの栽培は 都道府県知事の認可 が必要で、認可栽培者のみが扱える。本記事は文化的・植物学的・産業的な解説を目的としており、特定の用途や個人栽培を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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