基礎知識 — 歴史と社会 — ジャマイカ
ラスタファリと大麻 — 宗教的実践としての「ガンジャ」の歴史と位置づけ
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ジャマイカで 1930 年代に生まれた宗教・社会運動 ラスタファリ(Rastafari) では、大麻(現地では 「ガンジャ(ganja)」)が、嗜好品ではなく 瞑想と祈りのための「聖なる植物」 として位置づけられてきた。レゲエ音楽、とりわけボブ・マーリー(別記事「ボブ・マーリーと大麻文化」)を通じて世界に広く知られるこの結びつきを、本記事は 歴史・宗教文化の解説 として中立に整理する。なお本記事は特定の信仰・使用を推奨するものではない。
ラスタファリは、1930 年代のジャマイカで、植民地支配とアフリカ系住民の境遇への抵抗の中から生まれた。その中心にあるのは:
レナード・ハウエルら初期の説教者によって運動が形づくられ、ハイレ・セラシエを救世主的存在と仰ぐ信仰、アフリカ回帰の思想、そして ガンジャの聖礼的(サクラメンタル)な使用 を特徴とするようになった。
ジャマイカの大麻文化は、19 世紀半ば(1840 年代以降)にインドから来た年季奉公労働者によってもたらされたとされる。奴隷制廃止後の労働力としてカリブ海に渡ったインド系の人々が大麻を持ち込み、薬草・嗜好として広まった。「ガンジャ」という語自体、サンスクリット/ヒンディー語に由来する。
ラスタファリにおいて、ガンジャは 「叡智の草(wisdom weed)」「聖なるハーブ(holy herb)」 などと呼ばれ、神(ジャー、Jah)に近づき、瞑想を深めるための助け と信じられている。喫煙は、心を落ち着け「リーズニング(reasoning)」と呼ばれる集団での対話・思索を促すものとされ、儀礼の中心的な実践の一つとなっている。儀礼では 「チャリス(chalice)」 と呼ばれる水パイプが用いられることがある。
ラスタファリの信者は、ガンジャの使用は聖書に示されていると解釈する。彼らが典拠として挙げる聖句には、たとえば次のようなものがある(いずれも信仰上の解釈であり、本記事はその当否を判断しない):
これらは ラスタの宗教的解釈 であり、原典の文脈とは別に、信仰の中で意味づけられてきたものである。
重要な点として、ラスタファリの信者すべてがガンジャを使用するわけではない。使用する場合も、それは 嗜好・娯楽ではなく霊的な実践 として位置づけられ、節度ある「聖礼的」な使い方が理想とされる。アルコールやタバコ、加工食品を避ける禁欲的な生活規範(「アイタル」)を重んじる潮流もある。
1970 年代以降、レゲエ音楽、とりわけボブ・マーリー の世界的成功を通じて、ラスタファリとガンジャの結びつきは世界中に知られるようになった。これにより、大麻が「反体制」「精神性」「カリブ文化」の象徴として受容される一方、信仰の文脈を離れて単なる嗜好イメージとして消費される 面も生まれた。
大麻の宗教的使用は、各国の法制度との間で緊張をはらんできた。ジャマイカでは 2015 年の危険薬物法改正により、少量の大麻が非犯罪化されるとともに、登録されたラスタファリによる宗教的・聖礼的使用 に道が開かれた。一方、多くの国では宗教を理由とした例外は限定的、または認められていない。
日本国内では大麻草・大麻製品の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令 により規制されており、宗教的・信仰的な理由による例外は認められていない。本記事は海外の宗教文化・歴史の解説を目的としたものであり、日本国内での使用を推奨・容認するものではない。
ラスタファリは 1930 年代のジャマイカで生まれた宗教・社会運動で、大麻(ガンジャ)を 瞑想と祈りのための「聖なる植物」 として位置づけてきた。その背景には、インド系労働者による大麻の伝来、マーカス・ガーベイの予言とハイレ・セラシエへの信仰、そして独自の聖書解釈がある。ガンジャは「リーズニング」などの儀礼の中心に置かれる一方、すべての信者が使うわけではなく、あくまで霊的実践 とされる点が、嗜好的使用とは区別される。レゲエを通じて世界に広まり、ジャマイカでは 2015 年に宗教的使用に道が開かれたが、日本を含む多くの国では宗教を理由とした例外は認められていない。
出典 — Sources
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