ニュース — 法制度 — オランダ
アムステルダム、観光客の締め出しを撤回——狙いは財布へ
文責 HighWide Yuuki ·
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文責 HighWide Yuuki ·
アムステルダム市の新しい 連立合意に、観光客のコーヒーショップ利用を禁じる規定は 入らなかった。市内の約 166 店は、これまでどおり海外からの訪問者にも開かれたままとなる。
数年にわたって議論されてきた「観光客お断り」案は、こうして事実上たなざらしになった。代わりに市が選んだのは、宿泊税の大幅な引き上げである。最終的に 20% まで上がる見込みで、欧州でも最高水準になる。
ただし、日本から訪れる人にとっては、これとはまったく別の注意点がある。後半で触れる。
新しい連立を組んだのは、PRO Amsterdam(労働党 PvdA と緑の左派 GroenLinks が合流した会派)と D66 である。6 月 3 日に発表された合意文書は「Jouw stad is mijn stad. Ons Amsterdam」(あなたの街は私の街。私たちのアムステルダム)と題されている。
この文書に、居住者基準の導入は書かれなかった。フェムケ・ハルセマ市長は長年この基準の導入を求めてきたが、市議会は 2026 年もまた、観光客を締め出さない選択をしたことになる。
オランダのコーヒーショップ制度を理解するうえで、この基準は避けて通れない。
居住者基準(ingezetenencriterium、通称 i 基準)は、コーヒーショップの利用をオランダ在住者に限るという国の方針である。導入の経緯はこうだ。
ただし、実際に運用するかは各自治体の判断に委ねられてきた。国境に近い一部の自治体を除けば、多くのコーヒーショップ都市で観光客は利用できる状態が続いている。アムステルダムは、その代表格だ。
制度としては存在するのに、運用されていない——という状態が 十数年続いていることになる。
観光客を追い返さない代わりに、市は 払う額を上げる方を選んだ。
| 時期 | 宿泊税(宿泊料金に対する割合) |
|---|---|
| 現在 | 12.5% |
| 2027 年 | 16% |
| 以後 | 毎年 1 ポイントずつ引き上げ |
| 最終的に | 20% |
市は、清掃・公共空間の維持・取り締まりなど 観光にともなう費用を、より訪問者側に負担してもらう狙いだと説明している。税収は 2027 年に約 6,000 万ユーロ、最終的に約 7,500 万ユーロを見込む。
宿泊料金に対する割合としては、欧州で最も高い水準になる。
締め出しがなくなったとはいえ、コーヒーショップの利用にはもともと細かい条件がある。現時点で報じられている主なものは次のとおり。
よく誤解されるが、オランダで大麻が合法化されているわけではない。
オランダの制度は 許容政策(gedoogbeleid) と呼ばれる。大麻は オランダのアヘン法(Opiumwet) において引き続き規制物質(いわゆるソフトドラッグとして同法のリスト II)に位置づけられており、2026 年時点でも法律上は違法である。そのうえで、一定の条件を満たす小売については 訴追しないという運用が採られている。店頭で買えることと、法律が認めていることは、この国では同じではない。
各国の制度の違いは、別記事「医療大麻は国ごとに何が違うのか」や「世界の合法化マップ」も参照。
ここが本記事でいちばん重要な点である。
**日本の法律には国外犯処罰規定がある。**外務省および在外公館は、大麻について「日本では大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法において、使用・所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ、処罰の対象となっています。この規定は日本国内のみならず、海外において行われた場合であっても適用されます」と明示している。
さらに、2024 年 12 月 12 日に施行された改正法で、日本では 大麻の「使用」そのものが処罰の対象になった。所持の罰則も引き上げられている(制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照)。
つまり、
この二つは矛盾しない。現地で咎められないことと、帰国後に日本法の対象にならないことは別の話である。
本記事は制度と現地の状況を解説するものであり、渡航先での大麻の購入・使用を推奨するものではない。
この決定は「アムステルダムが大麻に寛容になった」という話ではない。むしろ 観光そのものへの姿勢の変化として読むほうが正確だろう。
市は近年、観光客の総量を抑える方向の施策を積み重ねてきた。飾り窓地区での喫煙禁止、迷惑な観光客に向けた「来ないでくれ」キャンペーン、そして今回の宿泊税引き上げ。そのなかで コーヒーショップの締め出しだけは採らなかった、という構図である。
観光客を選別するのではなく、来る人により多くを負担させる——手段を入れ替えたとみるのが実態に近い。
出典 — Sources
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