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ドイツの博物館で、約 5,600〜4,800 万年前の葉の化石が、現代の大麻に酷似するとして注目を集めている。もしこれが大麻属(Cannabis)のものだと確認されれば、これまで知られていた最古の証拠を 一気に数千万年さかのぼることになる。ただし、決め手となる特徴を欠いており、「大麻の最古の化石」と断定するには至っていない——というのが現時点の状況だ。

ざっくり言うと

  • ドイツ・ザクセン=アンハルト州で見つかっていた葉の化石が、現代の大麻の葉に似ているとして再検討されている
  • 年代は 前期始新世(約 5,600〜4,800 万年前) とされ、従来知られた最古の大麻の証拠より はるかに古い
  • ただし トライコーム(葉の細かな毛)など決め手を欠き、大麻属と断定はできていない

何が見つかったのか

話題になっているのは、ドイツ中部 アイスレーベン近郊(ザクセン=アンハルト州)で見つかった、泥岩に残る 葉の圧痕(押し型)の化石である。ベルリン自然史博物館(Museum für Naturkunde Berlin)の収蔵品を整理する過程で、あらためて注目された。

この標本自体は新発見ではなく、1883 年に古生物学者パウル・フリードリヒによって記載され、Cannabis oligocaenica と名づけられていたものだ。鋸歯状(ギザギザ)で細長い葉の形が、現代の大麻の葉に驚くほど似ている、というのが今回の注目点である。

なぜ驚きなのか

大麻の起源をめぐる証拠は、これまで比較的「新しい」ものだった。

  • 最も古いとされる 花粉の記録は、中新世(約 2,000 万年前)
  • 遺伝子の分子時計による推定でも、大麻属の誕生は 約 2,800 万年前ごろ

これに対し、今回の化石は 5,000 万年前級。もし大麻属と確認されれば、属の歴史が一気に数千万年さかのぼることになる。さらに、産地が 中央ヨーロッパである点も、「大麻はアジア起源」という通説に一石を投じうる。

ただし、断定はできない

一方で、慎重に見るべき理由もある。

  • 化石には、大麻を特定するのに必要な 葉表面の細かな毛(トライコーム)などの特徴が残っていない。形が似ているだけでは、大麻属と確定できない
  • Cannabis oligocaenica」という名前は 1883 年に付けられた古い分類名であり、現代の基準で大麻属と確認されたことを意味しない(名前に含まれる「オリゴ(漸新世)」も、実際の年代=始新世とはずれている)
  • 現在も さらなる検討が続いている段階で、結論は出ていない

つまり現時点では、「大麻に“よく似た”非常に古い葉の化石があり、本当に大麻属なのかを調べている」という段階だと理解するのが正確だ。

大麻の起源をめぐる話として

大麻は一般に、中央アジア〜東アジアを起源とすると考えられてきた。今回の化石は、その理解を揺さぶりうる興味深い手がかりだが、あくまで 今後の検証待ちである。派手な見出しに引きずられず、「何がどこまで分かっているか」を見極めたい。大麻という植物の由来や系譜については、別記事「ランドレースとは何か」も参照。本記事は歴史・植物学的な話題の紹介を目的としている。

出典

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