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コース料理の一皿ごとに、ごく少量の THC を組み込む——米国で、シェフが主導する大麻ダイニングが一つのジャンルとして育ちつつある。長らく非公式なポップアップとして続いてきたこの文化に、いま 制度の側から輪郭が与えられようとしている。

サンフランシスコの「大麻カフェ条例」が、2026 年 8 月 23 日に施行される。

ざっくり言うと

  • 米国では、1 皿あたり 5mg 前後という控えめな量を設計したコース料理が、会員制のサパークラブなどで提供されている
  • カリフォルニア州は 2025 年施行の AB 1775 で、認可された消費ラウンジが その場で調理した食事や酒類以外の飲料を出せるようにした
  • サンフランシスコ市は 2026 年 7 月 23 日に 大麻カフェ条例を承認し、8 月 23 日午前 0 時に施行される

「1皿5mg」という設計

代表例が、ロサンゼルスを拠点とする PopCultivate だ。創業したのは、生化学者から料理人に転じた Chris Yang 氏。季節ごとの多皿コースに、1 皿あたり 5mg 程度の THC を組み込んだ料理を出す、チケット制のポップアップ・ディナーを開いている。

ここで鍵になるのが **「量の設計」**である。かつての大麻入り菓子は、量が読めないことが問題だった。近年の潮流は逆で、あらかじめ少量に区切り、コース全体で体験を組み立てるという発想に立つ。5mg という単位は、米国の多くの州で 食用品の 1 回分の目安として制度上採用されている数字でもある。

ただし、これは 「安全な量」を意味しない。効き方は体質・耐性・食事内容・摂取からの時間で大きく変わり、経口摂取は作用の発現が遅いために重ねてしまう事故が起きやすい。本記事は特定の量や摂取を推奨するものではない。

非公式な催しから、認可された空間へ

こうしたディナーは長いあいだ、制度の外側にあった。会場を公にせず、招待制で開かれる形が一般的で、飲食店営業と大麻使用をめぐる規制の間に、正面から収まる場所がなかったからだ。

その状況を変えつつあるのが、消費ラウンジ(consumption lounge) の制度化である。

  • カリフォルニア州は 2025 年 1 月施行の AB 1775 により、認可を受けた販売店が併設する消費スペースで、その場で調理した食品・ノンアルコール飲料の提供と、ライブ演奏などの興行を認めた。それ以前は包装済みの食品しか出せなかった
  • ただし 地方自治体が個別に条例を定める必要があり、2026 年 7 月時点でも条例を整えた市はごく少数にとどまる
  • そのなかでサンフランシスコ市は、市議会が 7 対 4 で可決した条例を 2026 年 7 月 23 日に市長が承認8 月 23 日に効力が生じる

米国全体では、15 州と米領ヴァージン諸島が何らかの社会的消費の枠組みを認めている(実施段階はさまざま)。なかでもカリフォルニアとネバダは、飲食・娯楽を統合できる制度として先行しているとされる。

重要なのは、これが「どこでも自由に」を意味しないことである。認可された施設で、州法と市条例の範囲内で行われる行為であり、公共の場での使用は引き続き規制の対象だ。

なぜ「食」なのか

背景には、消費のかたちの変化がある。

飲食業界の調査では、消費者の 57% が月に 1 回以上、酒の代わりに大麻を選ぶと答えたという報告もある。喫煙を伴わない摂取が広がるなかで、食事という場が新しい接点になりつつある、という見立てだ。

同時に、これは ホスピタリティ産業の話でもある。シェフにとっては新しい素材と設計の問題であり、事業者にとっては認可・保険・安全管理の問題になる。2026 年は、こうした体験型の催しが 趣味的な集まりから事業へ移行する年だと語られることが多い。

日本から見ると

日本国内では、大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。THC を含む食品の提供は認められておらず、本記事で紹介した催しは、あくまで米国の一部地域で、認可のもとに行われているものだ。

海外渡航時も、日本人が国外で日本法上違法となる行為を行った場合、国外犯規定により処罰される可能性がある。制度の国ごとの違いについては「医療大麻は国ごとに何が違うのか」、日本の枠組みは「日本の大麻ルールはいま」を参照してほしい。

本記事は、海外で起きている文化・制度の動きを紹介するものであり、いかなる使用も推奨するものではない

出典

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