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ドイツで許可された 大麻栽培協会(Anbauvereinigung、いわゆる「大麻クラブ」)が 474 団体になった。2025 年 7 月時点の 293 団体から、約 62% の増加である。

ただし、この数字だけを見ると実態を読み違える。申請は 908 件あり、そのうち 90 件が却下、131 件が取り下げられている。さらに、許可を得たあとに別の壁が待っていることが分かってきた。建築法である。

ざっくり言うと

  • 許可された栽培協会は 474 団体(2025 年 7 月は 293。約 62% 増)
  • 申請 908 件のうち、90 件却下 / 131 件取り下げ / 許可後の取消 9 件
  • ノルトライン=ヴェストファーレン州が 138 団体で最多。申請 246 件に対する許可である
  • 許可されても、建物の用途変更に建築許可が要る。これが「第二の関門」になっている

数字の内訳

集計は、栽培協会の全国団体である BCAv(Bundesverband Cannabis-Anbauvereinigungen)によるもの。

許可申請
ノルトライン=ヴェストファーレン138246
ニーダーザクセン99148
バーデン=ヴュルテンベルク38
ラインラント=プファルツ32
ザクセン29

全国では 申請 908 件 / 許可 474 件。単純に割れば 通過率は約 52% である。

なお 2026 年 3 月時点では約 366 団体だったと報じられており、半年で 100 団体以上増えた計算になる。

「大麻クラブ」とは何か

ドイツの制度は、商業的な販売店を認める形ではない。ここが米国やカナダとの決定的な違いである。

Anbauvereinigung(栽培協会)は、2024 年 7 月から認められた仕組みで、主な条件は次のとおり。

  • 非営利であること。営利企業としての運営はできない
  • 会員は最大 500 人まで
  • 会員向けの分配は 1 日 25 g、1 か月 50 g まで
  • 18〜21 歳の会員は 1 か月 30 g まで、かつ THC 10% 以下の製品に限られる
  • 会員以外への譲渡はできない。店舗のように誰でも買える場所ではない

つまり **「みんなで育てて、会員だけで分ける」**という形である。営利の販売でも、単純な非犯罪化でもない、第三の形といえる。

大麻クラブという発想そのものの歴史は、スペインのカンナビス社交クラブなどに遡る(別記事「大麻クラブの歴史と功績」を参照)。ドイツは、それを 国の法律として制度化した最初の大国にあたる。

ドイツの制度全体については「ドイツの大麻法制」でも扱っている。

第二の関門——建築法

ここが今回の話の核心である。

**大麻法(KCanG)に基づく許可を得ても、それだけでは栽培を始められない。**建物や土地を栽培に使うには、建築法上の許可が別に必要になる。

  • 既存の建物を栽培に使う場合、用途変更(Nutzungsänderung)の建築許可が要る
  • 温室を建てる・改造する場合も同様である
  • 2026 年 8 月にはハンブルクで、温室の改装に投資したものの 建築許可を欠いていた栽培協会をめぐる司法判断が出たと報じられている

さらに、州によって建築法の運用が大きく異なるバイエルン州では厳格な解釈が取られ、これに対して大麻協会(Hanfverband)と CSC Inntal が 訴訟を起こしていると報じられている。

その結果、何が起きているか。**「許可は下りたが、まだ一粒も育てられていない」**団体が生まれる。474 という数字は 法律上の許可の数であって、実際に稼働している団体の数ではない

読み方

この件は、制度を作ることと、制度が動き出すことは別だという、ありふれた——しかし見落とされやすい——事実の実例である。

合法化のニュースは「◯◯が合法になった」で終わりがちだが、実際にはそのあとに 建築、消防、都市計画、地元自治体の裁量といった、大麻とは直接関係のない手続きの層が積み重なっている。ドイツで起きているのは、大麻政策の争点が薬物政策から行政手続きへ移ったということでもある。

数字の伸びだけを見て「順調に広がっている」と読むことも、却下と取り下げの多さだけを見て「頓挫している」と読むことも、どちらも実態からは離れている。

日本との関係

日本では、大麻草の 栽培は「大麻草の栽培の規制に関する法律」により免許制で厳格に規制されており、非営利の共同栽培という枠組みは存在しない。ドイツのような栽培協会に相当する制度もない。

また、大麻の所持・使用は日本国内では違法であり、2024 年 12 月からは使用そのものも処罰の対象となっている(制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照)。海外での合法情報は、日本での合法性を意味しない。

本記事はドイツの制度と現状の解説であり、特定の政策や使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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