HighWide 大麻情報メディア

ドイツの 医療用大麻の輸入量が、記録を更新し続けている。2024 年の 72.7 トンから、2025 年には 201 トン超へ。およそ 3 倍である。

2026 年第 1 四半期は 67.6 トン——だが、この数字には注意が要る。5 月に公表されたときは 50.5 トンだったものを、後から上方修正した値だからだ。

統計そのものが、まだ動いている。

ざっくり言うと

  • 2024 年 72,706 kg → 2025 年 201,094 kg。1 年で約 3 倍
  • 2026 年第 1 四半期は当初 50,539 kgと公表されたが、67,569 kg に修正された(約 34% の上方修正)
  • 供給元はカナダが最大。当初公表値に対して 26,753 kg(53%)
  • ドイツ政府は 年間の輸入見積もり枠を 2025 年に 2 度超過し、途中で輸入承認を一時停止した

数字の推移

データは、ドイツ連邦医薬品・医療機器庁(BfArM)の 連邦アヘン庁(Bundesopiumstelle)が四半期ごとに公表しているものである。

期間輸入量(乾燥花・抽出物)
2021 年(年間)約 20.6 トン
2024 年(年間)72,706 kg
2025 年 第1四半期37,686 kg
2025 年 第2四半期47,707 kg
2025 年 第3四半期59,076 kg
2025 年 第4四半期56,625 kg
2025 年(年間)201,094 kg
2026 年 第1四半期67,569 kg(修正後)

2024 年 4 月に大麻法(CanG)が施行され、医療用大麻が麻薬法の枠組みから外れて処方のハードルが下がった。2021 年に約 20 トンだった輸入が、4 年で 10 倍になった計算になる。

どこから来ているか

2026 年第 1 四半期の供給元の内訳は、次のとおり報じられている(当初公表値の 50,539 kg に対する数字である)。

割合
カナダ26,753 kg53%
ポルトガル10,342 kg
デンマーク3,338 kg
その他 4 か国公表なし

同じ四半期に、ドイツからの 輸出も 1,526 kg あった。

その数字は、後から動く

ここが本記事で最も伝えたい点である。

  • 2026 年第 1 四半期: 5 月の公表時は 50,539 kg。その後 67,569 kg に修正された。差は約 17 トン、率にして約 34%
  • 2025 年第3・第4四半期も、程度は小さいものの修正が入った
  • 2025 年の年間値も、当初の 201,094 kg から、その後の四半期修正を反映すると 205 トン超になると報じられている
  • 上記の国別内訳は、合計すると 49,540 kg にしかならず、公表された総量より 約 1 トン少ない

つまり、この分野で引用される数字は確定値ではない。輸入許可の処理や報告の遅れが後から反映されるため、同じ四半期について複数の値が流通することになる。

「前四半期比 15% 減」「前年同期比 34% 増」といった比較も、どの時点の値どうしを比べたかで変わる。実際、上の減少・増加はいずれも 修正前の 50,539 kg を基準にしたものである。修正後の 67,569 kg で計算し直せば、前四半期比は増加に転じる。

**急成長している市場ほど、統計は遅れて固まる。**数字を引くときは、いつ公表された値かを確認する必要がある。

政府の見積もりも追いつかなかった

もうひとつ、需要の伸びを示す出来事がある。

ドイツは、国際麻薬統制委員会(INCB)に対して 2025 年の輸入見積もりを 122 トンとして申告していた。ところが 9 月半ばにはこの枠を使い切り、BfArM は 新規の輸入承認を一時停止した。

その後、10 月末に枠を 192.5 トンへ引き上げた。しかし最終的な実績は 201 トン超で、引き上げた枠さえ超えた

同じ年に、国が見積もった枠を 2 度超えたことになる。

国内生産は追いついていない

これだけ輸入しているのは、国内で作れていないからでもある。

ドイツの主要生産者のひとつ DEMECAN は、ザクセン州エーバースバッハの施設の栽培面積を倍にし、自社栽培で年 4 トン超の生産能力を確保したと発表している。輸入した花の加工能力 6〜8 トンを含めて、合計で年 10 トン超という規模である。

一方で、輸入は 四半期だけで 67.6 トン。国内生産は、まだ桁が違う。

ドイツの制度の全体像は「ドイツの大麻法制」、栽培協会(大麻クラブ)の現状は「ドイツの大麻クラブが474団体へ」も参照。

日本から見ると

日本では、大麻由来医薬品の医療使用は 2024 年の法改正により制度上は可能になったが、承認された医薬品はごく限られており、ドイツのような輸入量が生じる状況にはない。大麻の所持・使用は引き続き違法で、2024 年 12 月からは使用そのものも処罰の対象である(制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照)。

本記事は海外市場の統計の解説であり、使用を推奨するものではない。

読み方

「ドイツの輸入が急増」というニュースは繰り返し流れる。実際に増えているのは確かだ。

だが同時に、その数字が後から 3 割動くということも、この市場の現状を示している。制度が変わってからまだ 2 年あまりで、統計の仕組みが実態に追いついていない。見積もりを 2 度超え、輸入を一時止め、公表値を後から直す——そういう段階にある。

出典

出典 — Sources

この記事がよかったら

コメント
    0 / 600

    リンクや売買・勧誘とみなされる投稿、他者を傷つける表現はご遠慮ください。投稿は公開されます(不適切なものは削除される場合があります)。

    この記事をシェア

    Related

    この記事を読んだ人はこちらも