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学校の近くに大麻店があると、生徒は大麻を使いやすくなるのか。

カナダの研究チームが、中高生約 42 万人のデータでこの問いを調べた論文を、学術誌『Drug and Alcohol Dependence』に発表した。結論は、大麻店との距離や店の多さと、生徒の大麻使用との間に、一貫した関係は見られなかったというものである。

同じ期間に、生徒の 過去 1 年の大麻使用率は 22.2% から 10.0% へと、半分以下に下がっている。

ざっくり言うと

  • カナダの 4 州の中高生 41 万 9,887 人を、2018〜2023 年にわたって調べた
  • 学校から大麻店までの 距離や店の数と、生徒の大麻使用との間に、一貫した関係はなかった
  • 研究チームは、生徒が大麻を手に入れる先は 店ではなく、主に友人や家族だとみている

どんな研究か

  • 論文名: Cannabis retail accessibility and adolescent use across a maturing market: Evidence from Canada(成熟していく市場での大麻小売へのアクセスと若者の使用——カナダからの証拠)
  • 著者: Jamie A. Seabrook ほか 9 人
  • 掲載誌: Drug and Alcohol Dependence 第 288 巻(2026 年)。誰でも読める オープンアクセス
  • 対象: アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州の 中高生 41 万 9,887 人
  • 期間: 2018〜2023 年
  • 方法: 毎年 別の生徒たちに同じ調査をする「繰り返し横断調査」。同じ生徒を追いかける調査ではない

カナダは 2018 年 10 月、連邦の **大麻法(Cannabis Act)**のもとで、成人の嗜好用大麻を合法化した。調査期間は、ちょうど合法化の直後から、大麻店が増えていった時期にあたる。

何を比べたか

大麻店への「近さ」は、次のように測った。

  • 学校から いちばん近い大麻店までの距離
  • 学校の近くにある 大麻店の数
  • 学校から 約 1.2 マイル(約 2km)以内の、距離で重みをつけた店の密度

生徒の使用は、「これまでに使ったことがあるか」「過去 1 年」「過去 1 か月」「毎日またはほぼ毎日」の 4 段階で聞いた。あわせて、生徒が大麻を どれくらい手に入れやすいと感じているかも聞いている。

研究チームは、分析の条件を変えた 264 通りの計算を試し、結果が条件によって変わらないかを確かめた。

何が分かったのか

店の近さと使用:一貫した関係なし

大麻店との距離や店の数と、生徒の大麻使用との関係は、小さく、ばらつきがあり、多くは統計的に意味のある差ではなかった。

例外:2018 年の合法化の直後だけ

ただ一つの例外は、合法化直後の 2018 年である。このときは、すでに大麻を使っている生徒のなかで、店が近いほど使う頻度が高いという関係が見られた。しかしこの関係は、市場が広がるにつれて消えていった。

「手に入りやすいと思うか」は使用と強く関係

生徒が「大麻は手に入りやすい」と感じているかどうかは、使用と 強く関係していた。ところが、この「手に入りやすさの感覚」は、実際に近くに店があるかどうかとは、あまり関係がなかった。

使用率は半分以下に

年過去 1 年に大麻を使った生徒
2018 年22.2%
2023 年10.0%

研究チームの結論

研究チームは、次のように考察している。

  • 生徒が大麻を手に入れるのは、主に 友人や家族といった人のつながりからである
  • カナダの大麻店には 年齢制限があり、未成年はそもそも店からほぼ締め出されている
  • そのため、学校の近くに大麻店を出させないといった規制は、市場が成熟したあとでは、生徒の使用を減らす効果が 限られる可能性がある
  • 生徒の行動には、店の場所よりも、まわりの人や社会の環境のほうが大きく影響している

注意点

  • 関係を見た研究であり、原因を証明したものではない。使用率が下がった理由を、この研究は説明していない
  • 毎年 別の生徒を調べているため、一人ひとりの変化は追えない
  • 使用はすべて 生徒の自己申告である
  • 対象は カナダの 4 州で、ほかの州や国にそのまま当てはまるとは限らない
  • 本記事は論文の要約記事と報道をもとにしている。オッズ比などの細かい数値は、論文の本文で確認できる
  • この研究を紹介した NORML は、米国で大麻の合法化を支持する団体である。紹介のしかたにはその立場が反映されうる

読み方

この研究が示しているのは、カナダでは、学校の近くに大麻店があるかどうかが、生徒の大麻使用を大きく左右しているようには見えないということである。合法化直後に見られた関係も、数年で消えていた。

一方で、これは「若者の大麻使用は問題ない」という意味ではない。研究チームは、友人や家族を通じた入手や、まわりの環境のほうが重要だと指摘している。若者への対策の重心を、店の場所の規制から、人のつながりや環境の側へ移す必要がある、という問題提起として読める。

米国メリーランド州の若者の使用率については、「メリーランド、合法化後も10代の大麻使用は減少」でも扱った。研究結果の読み方については、「『効く』『効かない』で割れる大麻研究の読み解き方」も参照してほしい。

なお日本では、大麻の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令により規制されており、2024 年 12 月からは 使用そのものも処罰の対象となっている。本記事は海外の研究の紹介であり、使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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