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FDA、Vertanical の大麻由来腰痛薬「VER-01」をブレークスルー指定
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米 FDA(食品医薬品局)は 2026 年 5 月 18 日、ドイツの製薬企業 Vertanical GmbH(本社・グレーフェルフィング、ミュンヘン近郊)が開発する 大麻由来の非オピオイド慢性腰痛薬「VER-01」 に対し、ブレークスルーセラピー指定(Breakthrough Therapy Designation) を付与したと、同社が発表した。Vertanical は VER-01 を米国で最初の「非オピオイドの大麻由来鎮痛医薬品」候補と位置づけており、Phase 3 試験では有意な鎮痛効果と、依存・離脱症状の所見がないことが報告されている。
ただし、ブレークスルーセラピー指定はあくまで迅速審査の対象とする FDA の制度上の位置づけであり、医薬品としての承認ではない。VER-01 は現時点でも 米国では未承認の治験薬 であり、Vertanical は別途、米国での新たな Phase 3 試験を開始済みで、データ読み出しは 2027 年、新薬承認申請(NDA)は 2028 年を見込んでいる。
ブレークスルーセラピー指定(Breakthrough Therapy Designation)は、FDA が「深刻な疾患の治療薬候補で、既存療法に対し実質的な改善の可能性を予備臨床データが示すもの」を対象に、開発・審査を迅速化する制度。指定を受けると:
などの恩恵がある。一方で、「指定」自体は承認の保証ではなく、Phase 3 完了・新薬承認申請(NDA)・FDA 審査 という通常のプロセスを経る必要がある(別記事内部リンクには [FDA Breakthrough Therapy 制度](https://www.fda.gov/patients/fast-track-breakthrough-therapy-accelerated-approval-priority-review/breakthrough-therapy))。
VER-01 は、Vertanical が開発する 大麻 Cannabis sativa 系統「DKJ127」由来のフルスペクトラム抽出物。複数のカンナビノイド・テルペンを含む標準化された製剤で、慢性腰痛(chronic low back pain、CLBP)を対象適応とする経口剤として開発されている。
VER-01 はクロマトグラフィー・分光法で組成が 再現可能に標準化 されており、嗜好用大麻や医療大麻プログラムで流通する「全草」とは異なり、医薬品として均一な品質管理 がされている点が特徴。
慢性腰痛は世界で数億人が抱える慢性疾患で、長期的な ADL(日常生活動作)・労働生産性・QOL に大きな影響を与える。標準治療の柱は:
しかし、NSAIDs は長期使用で消化管・腎臓のリスク、オピオイドは依存・乱用・過量摂取のリスク が深刻で、米国を中心に オピオイド危機(Opioid Crisis) が長年の公衆衛生課題となってきた。非オピオイドで実用的な代替薬 の開発は、米国の医薬品開発における優先課題の一つ。
VER-01 の Phase 3 試験は、2025 年 9 月に Nature 系の医学誌 Nature Medicine と Springer の Pain and Therapy に掲載された:
これらの Phase 3 試験結果が、FDA のブレークスルーセラピー指定の根拠となった。
Vertanical は 米国でさらに別の枢要(pivotal)Phase 3 試験を開始済みで、データ読み出しは 2027 年、NDA(新薬承認申請)は 2028 年 を見込んでいる。指定を受けたとはいえ、米国での承認・販売は早くても 2028 年以降となる。
繰り返しになるが、ブレークスルーセラピー指定は 承認ではなく、迅速審査の対象化。Phase 3 米国試験の結果次第では NDA 提出・FDA 審査の段階でつまずく可能性もある。現時点で VER-01 を「FDA 認証済み治療薬」と扱うのは誤り。
VER-01 は 標準化された製薬グレードのカンナビス抽出物であり、嗜好用大麻製品や医療大麻プログラムで流通する「植物そのもの」とは性質が異なる。FDA はこれまでにも CBD 純化品の Epidiolex(エピディオレックス) を承認しており(別記事「Epidiolex の FDA 承認」)、VER-01 はこの流れにおける「フルスペクトラム抽出物の医薬品化」という新しい段階に位置づけられる。
JAMA が 2026 年 1 月号に掲載した総説(別記事「JAMA 2026 総説」)では、急性痛・不眠に対するカンナビノイドの RCT エビデンスは現時点で不十分とされる一方、慢性疼痛については一部の試験で効果が示唆されると整理されている。VER-01 の Phase 3 試験は、この「慢性疼痛での効果」の流れを補強する具体的なデータといえる。
米国のオピオイド危機の中で、非オピオイドで実用的な慢性疼痛治療薬 は政策的・臨床的に強く求められている。VER-01 が承認に至れば、医療大麻プログラムを介さない 正式な医薬品としての「大麻由来非オピオイド鎮痛薬」 が米国で初めて流通する可能性があり、慢性疼痛治療の選択肢に影響を与えうる。一方で、長期使用の安全性、用量反応、患者集団ごとの効果差 など、今後の追跡が必要な論点も多い。
日本国内では大麻草・大麻製品の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令 により規制されている。一方、2024 年 12 月施行の改正大麻取締法・麻薬及び向精神薬取締法 により、大麻草由来の医薬品(医療用麻薬として位置づけ)の利用が制度上可能になった(別記事「Epidiolex の FDA 承認と日本での展望」)。VER-01 のような大麻由来医薬品が将来日本で承認・流通するかは、米国での承認(早くて 2028 年以降)とその後の各国規制当局の判断 に依存する。本記事は海外の医薬品開発状況の解説を目的とし、特定の使用や製品を推奨するものではない。
米 FDA が 2026 年 5 月 18 日、ドイツ Vertanical の大麻由来慢性腰痛薬 VER-01 にブレークスルーセラピー指定を付与した。Phase 3 試験(n=820)で有意な鎮痛効果、オピオイド比較試験で同等以上の効果・良好な忍容性、依存・離脱症状なし が報告されていることが根拠。ただしこれは承認ではなく迅速審査の対象化 であり、米国での承認は早くても 2028 年以降 となる見込み。米国のオピオイド危機を背景に「非オピオイドの慢性疼痛治療薬」の有力候補として注目されるが、長期安全性・実臨床での効果差・各国規制対応など、追跡すべき論点は多い。
出典 — Sources
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