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厚生労働省は 2026 年 8 月 18 日、危険ドラッグに含まれる 4 物質を新たに 指定薬物とする省令を公布した。施行は 8 月 28 日である。

**今回指定された 4 物質に、大麻由来の成分は含まれていない。**それでも本サイトがこれを取り上げるのは、これが CBN や HHC を規制したのとまったく同じ制度だからだ。日本で大麻関連成分がどう規制されてきたかを理解するうえで、この制度が どれくらいの速さで、どれくらいの頻度で回っているかを知っておく意味は小さくない。

ざっくり言うと

  • 何が起きたか — 厚労省が 8 月 18 日に省令を公布、8 月 28 日施行で 4 物質を指定薬物に指定。医療等の用途以外の 製造・輸入・販売・所持・使用が禁止される
  • 4 物質の内訳 — トリプタミン系 1、合成オピオイド系 2、LSD 誘導体 1。カンナビノイドは含まれない
  • なぜ大麻メディアが扱うのか — HHC・HHCH・THCH・CBN はすべて この同じ制度で規制された。制度は成分の種類を問わずに動く

何が指定されたか

厚労省の発表によれば、対象は 8 月 17 日の薬事審議会指定薬物部会で「指定薬物とすることが適当」とされた 4 物質である。報道により公表されている名称は次のとおり。

  1. N-イソブチル-5-メトキシトリプタミン(5-MeO-NiBT / 5-MeO-iBT)
  2. 1-(2-ジエチルアミノ)エチル-2-(4-イソブトキシベンジル)-5-ニトロベンズイミダゾール
  3. 1-(2-ジエチルアミノ)エチル-2-[4-(2-フルオロエトキシ)ベンジル]-5-ニトロベンズイミダゾール
  4. N,N-ジエチル-4-(フェロセンカルボニル)-7-メチル-4,6,6a,7,8,9-ヘキサヒドロインドロ[4,3-fg]キノリン-9-カルボキサミド

化学名から読み取れる分類は次のようになる。

  • 1 番は名称のとおり トリプタミン系(幻覚作用を持つ化合物群として知られる骨格)
  • 2 番・3 番は、2-ベンジル-5-ニトロベンズイミダゾールという、近年国際的に問題になっている 「ニタゼン系」合成オピオイドと同じ骨格を持つ
  • 4 番LSD と同じ骨格(ヘキサヒドロインドロ[4,3-fg]キノリン-9-カルボキサミド)に、フェロセンを結合させた誘導体で、1Fe-LSD と通称される

この 4 つのいずれも、カンナビノイド(大麻草由来成分およびその類似合成物)ではない。

厚労省は、これらが 海外でも流通している物質であるとして、水際(輸入)対策を強化する方針を示している。

指定薬物制度とは

日本には、大麻関連成分を規制する経路が 二つある。

  • 大麻取締法系(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)——大麻草そのものと THC を扱う
  • 薬機法の指定薬物制度——それ以外の「危険ドラッグ」的な成分を、個別に素早く指定して禁止する

今回使われたのは後者だ。根拠は 医薬品医療機器等法(薬機法)第 2 条第 15 項(指定薬物の定義)と 第 76 条の 4(医療等の用途以外の禁止)である。今回の省令は 令和 8 年厚生労働省令第 131 号

指定されると、医療等の用途以外の目的での製造・輸入・販売・所持・使用などが禁止される。制度の全体像は別記事「指定薬物制度と HHC など類似成分」で解説している。

手続きの速さ

今回の日程を並べると、この制度の性格がよく分かる。

日付出来事
8 月 17 日薬事審議会指定薬物部会が指定を了承
8 月 18 日省令を公布
8 月 28 日施行(禁止が発効)

部会から施行まで 11 日である。法律の改正を経ずに省令で追加できるため、新しい成分が市場に出てから規制されるまでの時間が短い。これが「機動的規制」と呼ばれる理由だ。

なぜ大麻メディアがこれを扱うのか

日本で大麻由来・大麻類似の成分が規制されてきたのは、ほとんどが この指定薬物制度による。

  • HHC — 2022 年 3 月に施行
  • THCH — 2023 年に指定
  • HHCH — 2023 年末、いわゆる「大麻グミ」の健康被害を受けて指定
  • CBN — 2026 年 3 月 18 日公布、6 月 1 日施行(別記事「日本、CBN を指定薬物に」)

つまり、カンナビノイドかどうかは制度の入口の条件ではない。厚労省が「危険ドラッグとして流通しうる」と判断した成分は、種類を問わず同じ手続きで指定されていく。

海外で「ヘンプ由来だから規制対象外」という論法が使われてきたのに対し、日本では 由来ではなく成分ごとの指定で塞いでいく——この違いは、米テキサス州の事例(別記事「テキサスがTHCa規制、店はTHCPへ」)と比べると分かりやすい。

今回のように 大麻成分がまったく含まれない月があること自体も、この制度が大麻専用の仕組みではなく、危険ドラッグ全般を対象にした汎用の網であることを示している。

注意点

  • 厚労省の報道発表本文には物質名の記載がなく、**具体的な名称は添付の別紙(PDF)**に置かれている。本記事の物質名は、報道された内容に基づく
  • 上記の 構造分類は化学名から読み取れる範囲のものであり、厚労省が分類として公表したものではない
  • 指定薬物制度は 成分ごとの個別指定が原則で、包括指定が行われる場合もある。ある成分が「まだ指定されていない」ことは、安全であることを意味しない

日本での位置づけ

日本国内では、大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令により規制されている。また指定薬物に指定された成分は、薬機法により 医療等の用途を除いて製造・輸入・販売・所持・使用が禁止され、違反には罰則が科される。

本記事は公表された規制情報の整理であり、特定の成分や製品の使用を推奨するものではない。国内の制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照。

出典

出典 — Sources

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