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米テキサス州で、喫煙用の THCa 製品が事実上の販売禁止になった。州保健当局(DSHS)が、成分表示の抜け穴をふさぐ新しい計算方法を導入したためだ。ところが店頭からその棚が消えると、小売店は規則で名指しされていない 別のヘンプ派生成分「THCP」 に切り替えた。禁止と抜け穴が交互に現れるこの構図は、CBN などを次々に指定してきた 日本の規制とも驚くほど似ている。

ざっくり言うと

  • テキサス州は 2026 年 3 月、Δ9-THC と THCa を合算して 0.3% 以下でなければ違法とする規則を施行し、喫煙用 THCa 製品を実質的に禁止した
  • 規則が THCP を名指ししていなかったため、小売店はいったんこの成分の製品に乗り換えた
  • 「一つ禁止すると、少し違う成分が現れる」構図は、合成カンナビノイドや CBN を相次いで指定してきた 日本の規制とよく似ている

何が起きたか

テキサス州保健当局(Department of State Health Services、DSHS)は 2026 年 3 月、消費者向けヘンプ製品の THC を判定する新しい規則を採用した。ポイントは、Δ9-THC 単独ではなく、Δ9-THC と THCa を合算して乾燥重量の 0.3% 以下でなければならないとした点だ。

THCa(テトラヒドロカンナビノール酸)は、加熱すると THC に変化する“前駆体”で、生の状態では Δ9-THC ではない。この性質を使い、「Δ9-THC は 0.3% 以下」という連邦基準を形式的に満たしながら、火をつければ強く効く「喫煙用ヘンプ」として流通してきた。合算方式は、この抜け穴を突いた製品を規制対象に含める狙いがある。

新しい執行規則は 2026 年 3 月 31 日に発効した。規則は裁判で争われ一時差し止められたが、6 月 26 日、裁判所は差し止めを延長しないと判断し、THCa 製品の販売は違法になった。

すると小売店が次に持ち出したのが THCP(テトラヒドロカンナビフォロール) だ。THCP は微量ながら大麻草にも存在するとされるカンナビノイドで、テキサスの規則で個別に名指しされていなかった。規制の網に明示されていない成分へ横滑りする——典型的な「抜け穴探し」である。

もっとも、この回避も長くは続かない見通しだ。連邦レベルでは、大麻草が自然に作らない成分や植物の外で合成された成分をヘンプから除く整理が進んでおり、2026 年 11 月 12 日以降は、多くの THCa 製品や合成系カンナビノイドが連邦法上の規制物質に区分され直すとされる。

背景:ヘンプ「派生成分」規制の構造

こうした追いかけっこの根っこには、米国の 2018 年農業法(Farm Bill) がある。同法は Δ9-THC が乾燥重量 0.3% 以下の大麻草を「ヘンプ」として連邦レベルで解禁した。だが「Δ9-THC の濃度だけ」を基準にしたため、Δ9 以外の形で似た作用を持つ成分が、次々と“合法ヘンプ”として登場する余地が生まれた。

デルタ8-THC、THCa、そして今回の THCP——名前や構造は違っても、流れは同じだ。ある成分が規制されると、基準の書き方をわずかにすり抜ける別の成分が現れる。州や連邦が規則を書き換え、市場がまた別の成分で応じる。この繰り返しが続いている。

日本にも通じる「いたちごっこ」

同じ構図は、日本の規制でも見られる。日本では、危険ドラッグとして出回った 合成カンナビノイドに対し、2013 年に構造が似た物質をまとめて規制する「包括指定」を導入した。それでも、構造を少しずつ変えた HHC や HHCH といった新たな派生成分が登場するたびに、指定薬物への追加指定が繰り返されてきた。

そして 2026 年 6 月 1 日には、市販の CBD 関連製品にも含まれていた CBN(カンナビノール) が指定薬物となり、原則として製造・販売・所持・使用が禁止された。「一つ塞ぐと、また別の成分が出てくる」という展開は、テキサスの THCa → THCP とよく似ている。日本の制度全体の流れは、別記事「日本の大麻ルールはいま——2024年改正からCBN規制まで」で整理している。

米国が「濃度基準の抜け穴」を軸に争っているのに対し、日本は「指定薬物」という個別・包括の指定で対応してきた、という制度の違いはある。ただ、規制が新しい成分を後追いするという基本構造は共通している。

関連する論点

この追いかけっこには、いくつかの論点がある。

  • 消費者の安全:規制の網の外にある新しい成分は、品質管理や含有量表示、健康影響のデータが乏しいまま流通しやすい。何が入っているか分かりにくい製品が増える懸念がある
  • 規制の設計:成分を一つずつ名指しして禁止する方式は、常に後追いになりやすい。作用や構造でまとめて捉える方式のほうが漏れは少ないが、線引きが難しく、正規のヘンプ産業まで巻き込む恐れもある
  • 産業への影響:急な規制変更は、適法だと考えて仕入れた小売・製造業者に大きな影響を与える

どの成分が「合法」で「違法」かは、国・州・時点・根拠となる法令によって大きく変わる。断定的な情報ではなく、最新の一次情報を確認することが欠かせない。本記事は特定の製品や使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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