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米国の調査会社 ギャラップが 2026 年 8 月に公表した調査で、大麻を吸うと答えた成人は 17%タバコを吸うと答えた成人は 11% だった。大麻は 過去最高と並ぶ水準、タバコは 記録的な低さである。

「アメリカではもうタバコより大麻のほうが多い」——見出しにするなら、そうなる。ただし これは自己申告による世論調査であり、数字の読み方にはいくつか留保が要る。そこまで含めて整理する。

ざっくり言うと

  • 大麻を吸う 17%(2023 年の過去最高と同水準)、タバコを吸う 11%(記録的低水準)
  • 大麻は 2013 年の 7% から 10 年あまりで倍以上。タバコは 1944 年の 41% から下がり続けてきた
  • 食用(エディブル)を摂ると答えた人は別に 15%
  • 自己申告の調査であり、「行動が変わった」のか「答えやすくなった」のかは、この調査だけでは切り分けられない

調査が示した数字

ギャラップの「消費習慣(Consumption Habits)」調査による。

項目割合
大麻を吸う17%
大麻の食用(エディブル)を摂る15%
タバコを吸う11%
ベイプ(電子タバコ)を使う9%
ニコチンパウチを使う4%

大麻 17% は、2023 年に記録した過去最高と並ぶ水準である。2013 年には 7% だったので、10 年あまりで 2 倍以上になった計算になる。

一方の タバコ 11% は、ギャラップが調査を始めて以来の低さと同水準だ。1944 年には 41% が吸うと答えていた。この 80 年で、4 人に 1 人以下にまで下がったことになる。

誰が使っているか

  • 最も高いのは 30〜49 歳で 25%。次いで 18〜29 歳が 23%
  • 大学の学位を持たない層のほうが、大麻・タバコとも使用率が高い
  • ベイプは 18〜29 歳が 17% で最も高く、大麻とは年齢層の重心がやや異なる

世論はほぼ二分されている

同じ調査では、大麻が社会に与える影響について **47% が「良い」、46% が「悪い」**と答えている。使う人が増えていることと、社会がそれを肯定していることは別である。ここはほぼ拮抗したままだ。

調査の方法

  • 実施期間: 2026 年 7 月 1 日〜19 日
  • 対象: 全 50 州とワシントン D.C. に住む 18 歳以上の成人 1,200 人(無作為抽出)
  • 方法: 電話調査(調査会社 ReconMR が実施)。8 割以上が携帯電話、残りが固定電話
  • 誤差: ±4.0 ポイント(95% 信頼水準)

注意点(この数字の限界)

見出しの数字が一人歩きしやすい調査なので、以下は押さえておきたい。

  • すべて自己申告である。「吸っていますか」と電話で聞かれて答えた内容であり、実際の使用を測定したものではない
  • **したがって「増えた」の中身が分からない。**本当に使う人が増えたのか、それとも 答えることへの抵抗が減ったのか。合法化が進み社会的な後ろめたさが薄れれば、同じ行動でも報告率は上がる。この調査だけでは両者を切り分けられない
  • **誤差は ±4.0 ポイント。**17% と 11% の差は誤差幅より大きいが、単年の数値をピンポイントで比べるより、推移の方向を見るほうが妥当である
  • **「吸う」と「食べる」は別に聞いている。**17% と 15% を足して「32% が大麻を使っている」とは読めない。両方する人が重複しているためだ
  • 量や頻度は分からない。「吸う」と答えた人が毎日なのか年に一度なのかは、この設問では区別されない

研究や調査の結果が割れて見えるときの読み方は、別記事「『効く』『効かない』で割れる大麻研究の読み解き方」でも整理している。

日本と比べられるのか

日本の数字と並べたくなるが、そのまま比較はできない。測っているものが違うからだ。

日本では、国立精神・神経医療研究センターが厚生労働省の事業として実施している 全国住民調査があり、2023 年の調査で 大麻の生涯経験率は 1.5%(推計およそ 134 万人)と報告されている。

ここで注意が必要だ。

  • ギャラップの 17% は「いま吸っているか」を聞いた数字
  • 日本の 1.5% は「これまでに一度でも使ったことがあるか」を聞いた数字

後者のほうが本来は高く出る種類の設問である。それでもなお、日本の「生涯に一度でも」が米国の「いま吸っている」を大きく下回っている——という形でなら、差の大きさは読み取れる。

数字を比べるときは、何を測った数字なのかを先に確認する必要がある。この二つは、同じ「大麻の使用率」という言葉で呼ばれていても、別のものを数えている。

読み方

この調査が捉えているのは、米国での大麻の位置づけの変化である。かつて社会の周縁にあった行為が、少なくとも「聞かれたら答える」程度には日常の側へ移った——そのことは読み取れる。

ただし 「タバコを上回った」ことが、大麻がタバコより安全であることを意味するわけではない。この調査は使用率を測ったものであり、健康影響を比較したものではない。二つは別の問いである。

なお日本では、大麻の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令により規制されており、2024 年 12 月からは 使用そのものも処罰の対象となっている(制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照)。本記事は海外の調査結果の解説であり、使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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