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大麻店が近所にできると、まわりの店はどうなるのか。

米国の大学の研究者 3 人が、イリノイ州のデータを使ってこの問いを調べた論文を、2026 年 10 月 13 日に論文共有サイト SSRN で公開した。結論は、大麻店が開くと、近くの店の売上が平均で約 7.5% 増えたというものである。

ただし、増えたのは 客の数で、1 人あたりの支出は変わっていない。そして恩恵を受けたのは、飲食店や日用品の店、チェーン店に偏っていた。

ざっくり言うと

  • イリノイ州で嗜好用の大麻店が開くと、近くの店の 売上が約 7.5%、客数が約 6.8% 増えた
  • 増えたのは「来る人の数」。客 1 人あたりの支出は変わらなかった
  • 恩恵があったのは 飲食店・日用品店・チェーン店。服や雑貨などの店や、個人経営の店では、はっきりした変化はなかった

どんな研究か

  • 論文名: Like a Good Neighbor? Demand Spillovers from Recreational Cannabis Dispensary Openings to Nearby Retail Establishments(良き隣人か?——嗜好用大麻店の開業が近隣の小売店に及ぼす需要の波及)
  • 著者: Ecem Basak(ニューヨーク市立大学バルーク校)、Aida Sanatizadeh(北イリノイ大学)、Kevin Hong(マイアミ大学)
  • 公開: 2026 年 10 月 13 日、SSRN。査読(専門家による審査)を経る前の論文である
  • 対象: イリノイ州で 2021〜2024 年に開いた嗜好用の大麻店と、そのまわりの店
  • データ: 大麻店の開業記録と、近くの店の 毎月の客数・取引件数・売上

調べ方

使われたのは「差の差分析」という方法である。大麻店が開いた地域の店の変化と、まだ開いていない地域の店の変化を比べる。こうすると、景気や季節のように、どの店にも同じようにかかる影響を取り除きやすい。

イリノイ州では大麻店が 一斉にではなく、少しずつ時期をずらして開いていった。このずれが、比較に使えるわけである。

何が分かったのか

近くの店の数字(平均)

指標変化
客数+6.82%
取引件数+8.01%
売上+7.47%
客 1 人あたり・取引 1 件あたりの売上ほぼ変化なし

「来る人が増えた」効果

客 1 人あたりの支出は変わっていない。つまり、大麻店の客が近所の店で いつもより多く買ったのではなく、近所の店に来る人そのものが増えたということになる。数字からは、大麻店が人を呼び込み、ついでに近くの店にも寄る流れができた、と読める。

得をした店、しなかった店

店の種類結果
飲食店有意に増えた
日用品の店(生活に必要なもの)有意に増えた
服・雑貨など、生活に必須でない物の店はっきりした変化なし
チェーン店増えた
個人経営の店はっきりした変化なし

「有意」とは、偶然とは考えにくい差があったという意味である。

街の形と曜日

  • 歩いて回りやすい地域ほど、効果が大きかった
  • 売上の伸びは 週末に集中していた

背景:イリノイ州の大麻店

イリノイ州は、州法の **大麻規制・課税法(Cannabis Regulation and Tax Act)**にもとづき、2020 年 1 月 1 日から成人向けの大麻の販売を始めた。なお、米国の 連邦法では大麻は今も規制薬物であり、州と連邦で扱いが違う状態が続いている(2026 年 10 月時点)。

大麻店ができると近所にどんな影響があるのか。この研究は、そのうち 近所の店の売上という一つの面について、データで答えようとしたものである。

注意点

  • 査読前の論文である。今後の審査で、分析や数字が変わる可能性がある
  • 対象はイリノイ州だけで、ほかの州や国にそのまま当てはまるとは限らない
  • 近くの店のデータを どの会社が集めたものか、大麻店や近くの店の 数は、論文の概要には書かれていない
  • 調べたのは 売上や客数である。治安、交通、住民の健康といった、ほかの影響は扱っていない
  • 恩恵は チェーン店に偏っていた。地元の個人商店まで潤うとは言えない

読み方

この研究から言えるのは、イリノイ州のデータでは、大麻店が「人を呼ぶ店」として働き、そのついでに近くの飲食店や日用品店に客が流れたということである。

一方で、得をしたのはチェーン店で、個人経営の店や、生活に必須でない物の店には目立った変化がなかった。「大麻店が街を元気にする」と一言でまとめるには、まだ材料が足りない。

なお日本では、大麻の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令により規制されており、2024 年 12 月からは 使用そのものも処罰の対象となっている。本記事は米国の研究の紹介であり、使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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