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品種図鑑 ハイブリッド Type I (THC 優位)

Apple Fritter — 焼き菓子の名を持つ「最強品種」

文責 ·

品種データシート

系統
ハイブリッド
化学型
Type I (THC 優位)
THC
22-32%
CBD
<1%
由来
米国カリフォルニア州のワイン産地。2013年に Lumpy's Flowers が発表
親系統
Sour Apple × Animal Cookies
主要テルペン
#caryophyllene#limonene#humulene
風味
青リンゴ甘い生地ほのかなチーズ
効果傾向
リラックス多幸感陶酔身体の軽い痺れ

Apple Fritter(アップル・フリッター)は、2013 年にカリフォルニアのワイン産地で生まれた バランス型のハイブリッドである。名前は りんごの揚げ菓子に由来し、香りもそのとおり——甘い生地と青りんごを思わせる。

ところが中身は、その可愛らしい名前とかなり印象が違う。THC が 30% 前後と報告されることがあり、2016 年の「世界最強品種」リストに名を連ねた株でもある。

ひとことで言うと

菓子の名前と高含有量のギャップ。香りで選ばれ、強さで語られるようになった、2010 年代カリフォルニアの一株。

概要

作出したのは、カリフォルニアの Lumpy’s Flowers。共同創業者の Jason Dias が手がけたとされる。舞台はワインの産地として知られる北カリフォルニアで、2013 年に世に出た。

系譜は Sour Apple × Animal Cookies と報告されている。ただしこの品種の場合、注目すべきは交配そのものより 選別の工程のほうだ。伝えられるところでは、Lumpy’s Flowers は数か月をかけて フェノハント——同じ交配から育った個体のなかから、目当ての性質を持つものを選び抜く作業——を行い、締まって樹脂の多いつぼみと、果実の甘さ・りんご・スパイス・焼き菓子が混ざる香りを持つ個体を残したという。

現代の品種づくりが「掛け合わせ」だけでなく 「選ぶ」作業でできていることを示す例である。

親系統をたどると

もう一方の親 Animal CookiesGirl Scout Cookies の系譜に連なる株で、そこには OG Kush の血も入っている。つまり Apple Fritter は、GelatoBiscotti と同じ「クッキー系」の大きな流れのなかにある。

菓子の名前が並ぶこの世代のなかで、Apple Fritter は 香りの方向を果実側に振った一株といえる。

形態と特徴

  • 系統バランス: おおむね 50:50 のバランス型と紹介されることが多い
  • 見た目: 締まった濃い緑のつぼみに、樹脂が厚くのる。フェノハントで選ばれた性質がここに出ている
  • 香り: 青りんご × 甘い生地 × 土。奥に かすかなチーズ様の含みがあると表現される
  • 受賞歴: 2016 年にハイ・タイムズの「世界最強品種(World’s Strongest Strains)」リストに掲載。2017 年の NorCal カンナビス・カップでハイブリッド部門 1 位とされる

受賞歴は品種データベースや小売の解説に基づくもので、主催者側の一次資料までは確認できていない。

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: 情報源により 22〜32% と幅広く報告される。30% を超える数値を挙げるものもあるが、これは市販検査の高い側の値であり、栽培条件や測定方法の影響が大きい
  • CBD: 1% 未満

化学型は Type I(THC 優位) に分類される。報告値の上限は、市販品種のなかでもかなり高い部類にあたる。耐性の低い人には作用が強く出やすい。

なお「最強品種リスト」のような順位づけは、測定条件が統一されていない検査結果の比較であることが多い。数値をそのまま品種同士の優劣として読むことはできない。

主要テルペン

テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Apple Fritter で報告される主なものは次のとおり:

  • カリオフィレン(caryophyllene): 胡椒のようなスパイス感。この品種で最も多いとされる
  • リモネン(limonene): 柑橘の明るさ。果実の印象を支える
  • フムレン(humulene): ホップにも含まれる、土や木を思わせる含み

「青りんごと焼き菓子」という第一印象の奥に土っぽさが残るのは、この構成によるものとされる。テルペンと受容体の関係は「テルペンとカンナビノイド受容体活性化(前臨床研究)」も参照。

効果プロファイル(報告されている傾向)

バランス型のハイブリッドとして、以下の傾向が報告されている:

  • リラックスが最も多く挙げられ、多幸感陶酔が続く
  • 身体が軽く痺れるような感覚を挙げるユーザーレポートが目立つ
  • 高含有量のため、少量から試すべき品種として紹介されることが多い

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • ストレス・気分の落ち込み
  • 痛み
  • 食欲の低下

これらは Δ9-THC の薬理作用と、テルペン構成の組み合わせとされる。大規模臨床試験で確立された治療効能はない

副作用(報告されているもの)

  • 口渇・眼の乾燥
  • めまい
  • 高 THC 品種であるため、多量摂取時の不安・パラノイア感が出やすいとされる

派生・関連品種

  • 親系統: Sour AppleAnimal Cookies。後者を通じて Girl Scout CookiesOG Kush につながる
  • 同じ「菓子の名前」の世代として GelatoBiscotti と並べて語られる
  • Apple Fritter 自身も交配親として使われ、Apple Tartz などの派生を生んでいる

文化的意義

  • 2010 年代カリフォルニアの品種づくりを象徴する一株。ランドレースを整えた 20 世紀の育種とは異なり、すでに交配された品種から目当ての個体を選び抜くという、フェノハント中心の作り方の産物である
  • 「世界最強」の称号がブランドとして機能した例でもある。実際の含有量は栽培次第で大きく変わるが、リストに載ったこと自体が名を広めた
  • 名前が 焼き菓子であることと、語られ方が 強さであることのずれは、品種名が香りで付けられ、評価は数値で行われるという、現代の大麻市場の二重性をよく表している

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Apple Fritter は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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