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アメリカ合衆国(以下、米国)で、ハイキングをする人に「山道で何かを使ったことがあるか」を聞いた調査が公表された。

答えた 1,008 人のうち、35% が 大麻を使った状態でハイキングをした経験があると答えた。山道で使われるもののなかで、大麻は お酒(23%)やニコチン(21%)を上回って最も多かった。

調査したのは、アフリカのキリマンジャロ登山ツアーを販売する会社である。学術調査ではないので、数字の読み方には注意が要る。そこも含めて整理する。

ざっくり言うと

  • 米国のハイキング好き 1,008 人のうち、35% が大麻を使って山を歩いた経験があると答えた。何も使ったことがない人は 56%
  • 使う場所は 近所の短くて易しい道が中心。急な斜面や高い山では使わないという回答が多い
  • 調査したのは 登山ツアーの会社で、ネット上の登録者に聞いた調査である。米国全体の割合をそのまま表すものではない

調査が示した数字

調査は 2026 年 9 月 1 日〜3 日に行われ、結果は 9 月 24 日に公表された。

何を使ったか(回答者全体に占める割合)

使ったもの割合
大麻35%
お酒23%
ニコチン21%
シロシビン(いわゆるマジックマッシュルームの成分)15%
何も使ったことがない56%

何かを使ってハイキングをしたことがある人は 44% で、男性は 46%、女性は 42% だった。世代別では ミレニアル世代が 51% で最も高く、Z 世代が 43%、X 世代が 37% と続く。

山道で何かを使ったことがある人のうち、8 割が大麻を挙げている。山道で使われるものとしては、大麻が群を抜いて多い。

ほかに、「自然のなかでサイケデリクス(幻覚作用のある物質)を試してみたいが、まだ試したことはない」と答えた人が 24% いた。

どこで、なぜ使うか(使ったことがある人に聞いた割合)

  • 近所の短くて易しい道で使う人が 51%。1 人でのハイキングでは 30% に下がり、急な斜面や技術の要る登山では 5% にとどまる
  • 場所は 森林の中の道が 69% で最も多く、名のある山頂を目指す登山は 14%
  • 理由は「景色を楽しむため」が 48%、「自然とのつながりを感じるため」が 45%
  • 「緊張をやわらげる」「高所や崖の上が怖いのを乗り越える」という理由も 23% あった

どこで線を引いているか

使ったことがある人の 10 人に 9 人が、「ここでは絶対に使わない」という場所が少なくとも 1 つあると答えている。

  • 急な斜面や、崖のように足場が露出した場所: 57%
  • ハイキング後に運転して帰るとき: 54%
  • 標高の高い場所: 51%

一方で、使ったことがある人の 19% が、「しらふならしなかったことを山道でした」と答えている。多かったのは 予定より遠くまで歩いた(43%) と 予定より難しい道を選んだ(38%) だった。

何も使わない人に理由を聞くと、安全がいちばんの理由として挙がった。また 46% が「自然の体験そのものを守りたい」と答えている。

調査の方法

  • 実施者: Climbing Kilimanjaro(キリマンジャロ登山ツアーを販売する会社)
  • 実施期間: 2026 年 9 月 1 日〜3 日
  • 方法: オンライン調査サービス Connect by CloudResearch を利用
  • 対象: 趣味にキャンプやハイキングを挙げている 米国在住の成人 1,008 人。女性 52%、男性 46%。世代はミレニアル 51%、X 世代 24%、Z 世代 19%、ベビーブーマー 6%
  • 設問の分け方: 使い方についての設問は、使ったことがある 446 人だけが回答した。使わない理由の設問は、使ったことがない 562 人が回答している

注意点(この数字の限界)

見出しの「35%」だけが一人歩きしやすい調査なので、以下を押さえておきたい。

  • **調査したのは学術機関ではなく、登山ツアーの会社である。**記事は自社サイトに掲載されており、会社の宣伝を兼ねている
  • **回答者は無作為に選ばれていない。**ネット上の調査に登録した人のなかから、条件に合う人が答えている。そのため、誤差の幅を計算できる種類の調査ではない。米国のハイカー全体のうち何%が大麻を使っているか、という意味では読めない
  • 設問の文面、集計の補正(重みづけ)の有無は公表されていない
  • **回答者の世代に偏りがある。**半数がミレニアル世代で、ベビーブーマーは 6% しかいない。若い世代ほど使用経験が多いという結果なので、この偏りは全体の数字を押し上げる方向に働きうる
  • すべて自己申告である。「一度でも使ったことがあるか」を聞いており、頻度や量は分からない

調査結果の読み方については、別記事「『効く』『効かない』で割れる大麻研究の読み解き方」でも整理している。また、無作為抽出による電話調査の例としては「米国で大麻を吸う人がタバコを上回った——ギャラップ調査」がある。

米国の国立公園では州法に関係なく禁止

米国では州ごとに大麻の扱いが違い、成人の嗜好用使用を州法で認めている州も多い。しかし 国立公園は連邦の管理地であり、連邦法では大麻は今も規制薬物である。

米国立公園局(NPS)は、2026 年 10 月時点で各公園のページで次のように説明している。

  • オレゴン州の クレーターレイク国立公園: 「医療目的であっても、量にかかわらず大麻の所持・使用は禁止」(筆者訳)。公園内の施設、売店、キャンプ場も含まれる
  • カリフォルニア州の トゥーレレイク国定記念物: 「カリフォルニア州法は限られた所持と使用を認めているが、大麻は連邦法上は違法な薬物のままであり、公園内では連邦法が適用される」(筆者訳)

つまり 2026 年 10 月時点で、州法で成人の大麻使用を認めているオレゴン州やカリフォルニア州でも、国立公園の中では連邦法により禁止である。米国では「その州の法律で合法か」と「その場所で連邦法が適用されるか」は別の問題になる。

読み方

この調査が示しているのは、米国のハイキング好きの一部で、大麻が山歩きに持ち込まれる身近なものになっているということである。同時に、使う人の多くが 危険な場所や運転の前を避けているという自己申告も示している。

ただし、「避けている」と答えたことと、実際に安全だったかどうかは別の問題である。この調査は事故やけがを測ったものではない。「しらふならしなかったことをした」という回答が 19% あることも、併せて読む必要がある。

なお、日本では大麻の所持・使用・栽培・輸出入は 大麻取締法および関連法令により規制されており、2024 年 12 月からは 使用そのものも処罰の対象となっている(制度の全体像は「日本の大麻ルールはいま」を参照)。シロシビンを含むきのこも、日本では麻薬及び向精神薬取締法の規制対象である。本記事は海外の調査結果の紹介であり、使用を推奨するものではない。

出典

出典 — Sources

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