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ヘンプ(産業用の大麻草)の種から油を搾ると、あとに 搾りかすが残る。この搾りかすから、プラスチックのような薄い膜をつくる研究が、学術誌『Industrial Crops and Products』に掲載された。

搾りかすから取り出した たんぱく質に手を加えると、膜の 強さは最大で約 86% 上がった。膜は 土に埋めると 40 日で 6 割以上が崩れた。米国の大麻専門ニュースサイト The Marijuana Herald が 2026 年 10 月 21 日に伝えた。

ざっくり言うと

  • ヘンプの種から油を搾ったあとの かすから、たんぱく質の 薄い膜をつくった
  • たんぱく質に脂肪酸の仲間をくっつけると、膜の強さが最大で約 86% 上がり、水蒸気も通しにくくなった
  • 土に埋めると 40 日で 6 割以上が崩れた。ただし 実験室での結果で、製品にできるかはまだ分からない

どんな研究か

  • 掲載誌: Industrial Crops and Products(査読つきの学術誌。出版社は Elsevier)
  • 筆頭研究者: Seyedeh Fatemeh Mirpoor(セイエデ・ファテメ・ミルプール)
  • 材料: 産業用ヘンプの種から油を搾ったあとの 搾りかす(英語では oil cake)

ミルプール氏は、2022 年にイタリアの ナポリ・フェデリコ2世大学で、「種の搾りかすからつくる、たんぱく質のバイオプラスチック」をテーマに博士論文を書いている。そこでもヘンプ、カルドン(アザミの仲間)、アルガンの搾りかすが材料に使われていた。今回の研究は、その流れを引くものとみられる。今回の論文の著者全員と所属は、公開されている範囲では確認できなかった。

何をしたのか

  1. 搾りかすから たんぱく質を取り出す
  2. そのたんぱく質に、デカノイルクロリドという物質を濃さを変えて加える。これは脂肪酸(油の成分)の仲間で、たんぱく質の分子のかたちを変える
  3. できたたんぱく質を、薄い膜に加工する
  4. 膜の 強さ、水分の通しにくさ、熱への強さ、土の中での分解を調べる

何が分かったのか

項目手を加えない膜手を加えた膜(いちばん良いもの)
引っぱりへの強さ2.1 MPa3.9 MPa(約 86% 増)
かたさ(ヤング率)18.1 MPa37.6 MPa(2 倍以上)
水蒸気の通しやすさ—約 38% 減
たんぱく質が変性する温度105℃118℃
  • MPa(メガパスカル)は、材料がどれだけの力に耐えられるかを表す単位
  • 水蒸気を通しにくいことは、食品などを包む材料として大事な性質である

土に埋めると

40 日間、土に埋める実験では、手を加えた膜も、手を加えない膜も、6 割以上が崩れた。手を加えて強くしても、土の中で崩れる性質は残っていたことになる。

背景:なぜ「搾りかす」なのか

ヘンプの種は、食用の油やたんぱく質の原料として使われる。油を搾ると、たんぱく質を多く含むかすが大量に残る。研究チームが目をつけたのは、この 使い道の少ない副産物を、石油からつくるプラスチックの代わりに使えないかという点である。

ヘンプは繊維(茎)や種を目的に育てられる作物で、酔いをもたらす成分の THC はわずかしか含まない。サイトでは、種を目的に育てられるフィンランドの品種 FINOLA や、日本の栃木県で開発された とちぎしろ も紹介している。作物としての大麻については、「カナダで大麻が5番目の換金作物に」でも紹介している。

注意点

  • 実験室での結果である。The Marijuana Herald は、工場での生産や実際の製品での性能は「まだ確かめられていない」と伝えている
  • 「86% 増」は、いちばん強かった膜と、手を加えない膜を比べた数字で、手を加えた膜の平均ではない
  • 加えた物質の濃さなど、細かい条件は報道では示されていない
  • 論文本体は有料で、本記事の数字は論文を紹介した報道にもとづく
  • どの用途に向くかは、今後の研究しだいである

出典

出典 — Sources

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