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品種図鑑 サティバ Type I (THC 優位)

Swazi Gold — エスワティニの高地が育てたアフリカのサティバ

文責 ·

品種データシート

系統
サティバ
化学型
Type I (THC 優位)
THC
14-18%
CBD
<1%
由来
エスワティニ(旧スワジランド)。特定の育種家によらない在来系統
風味
ミントスパイスハーブ
効果傾向
覚醒高揚感集中社交性

Swazi Gold(スワジ・ゴールド)は、アフリカ南部の エスワティニ(旧スワジランド)に伝わる 在来のサティバである。特定の育種家が作った品種ではなく、その土地で世代を重ねてきた系統——いわゆる ランドレース にあたる。

細長い棒状のつぼみと、ミントを思わせる清涼感のある香りが特徴とされる。

ひとことで言うと

アフリカ南部の高地が形づくったサティバMalawi GoldLambsbread と並ぶ、アフリカ系ランドレースの代表格。

概要

エスワティニは、南アフリカとモザンビークに挟まれた小さな内陸国である。国土は狭いが 標高差が大きく、低地の亜熱帯から高地の涼しい草原まで、気候の異なる地域が短い距離のなかに並んでいる。

Swazi Gold は、この 多様な微気候のなかで自然交配を繰り返してきた系統だとされる。単一の交配から生まれたのではなく、土地そのものが選抜してきたという性格が強い。

現地では、この植物は嗜好目的だけでなく、薬用・儀礼的な文脈でも用いられてきたと伝えられる。腹の不調に茶として用いる習慣があったという記述も見られるが、これらは民族誌的な伝承であり、治療効果が確立されているわけではない

形態と特徴

  • 草丈: 2.5 m 程度まで伸びる。サティバらしい旺盛な生育で、クリスマスツリー型の樹形になる
  • つぼみ: 細長い棒状。葉が疎らでふわりとした構造という、アフリカ系サティバに典型的な形をしている
  • : 濃い緑の葉に、オレンジから赤みがかった雌しべが映える
  • 樹脂: 在来系統としては 樹脂が多いとされる
  • 開花期間: 屋外で 12〜16 週。南半球の秋にかけて収穫期を迎える
  • 香り: ミント × スパイス × ハーブ × 土

12〜16 週という開花期間は、現代の交配品種(多くは 8〜10 週)と比べてかなり長い。赤道に近い地域では日長の変化が小さく、短期間で開花を終える必要がなかったためだと説明される。

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: おおむね 14〜18%。現代の高 THC 品種と比べると控えめである
  • CBD: 1% 未満

化学型は Type I(THC 優位) に分類される。

注目されるのは THCV である。アフリカ系のランドレースには、THCV(テトラヒドロカンナビバリン) が測定可能な量で含まれることが多く、Swazi Gold もその例として挙げられる。THCV は THC と構造が似ているが、側鎖が短く、作用の出方が異なるとされる成分である(詳しくは「THCV とは」を参照)。

主要テルペン

この品種に固有の分析値として、信頼できる公開データを確認できなかったため、本記事では特定のテルペン名を挙げない。

ランドレースは、商業品種と違って 成分分析にかけられる機会が少ない。流通しているものが本当にその土地の系統なのかを確かめる手立ても限られる。数値が出回っていても、どの個体を測ったのかが分からないことが多い。

香りとして報告されるのは、ミント様の清涼感を軸に、スパイスとハーブが重なるという印象である。

効果プロファイル(報告されている傾向)

サティバのランドレースとして、以下の傾向が報告されている:

  • 覚醒感気分の高揚
  • 集中が続くという報告
  • 社交的になるという評価
  • 日中向きとして語られることが多い

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • 気分の落ち込み・ストレス
  • 疲労感
  • 食欲の低下

これらは Δ9-THC の薬理作用と、成分構成の組み合わせとされる。大規模臨床試験で確立された治療効能はない。

副作用(報告されているもの)

  • 口渇・眼の乾燥
  • サティバ優勢の品種で報告されやすい 不安・落ち着かなさ
  • めまい

派生・関連品種

  • 同じアフリカ系ランドレースとして Malawi Gold(マラウイの高原)、Lambsbread(ジャマイカ。アフリカ系の血を引くとされる)、Durban Poison(南アフリカ)が挙げられる
  • 交配親としては、開花期間の長さが商業栽培に向かないため、現代品種への直接的な寄与は限定的とされる

いま起きていること

この品種について、避けて通れない話がある。純粋な系統の維持が難しくなっているということだ。

近年、現地の畑にも 収量や開花速度で有利な現代の交配品種が持ち込まれ、在来系統と交雑が進んだと報告されている。結果として、「Swazi Gold」として流通しているものが、どこまで元の系統を保っているのかが分かりにくくなっている。

これはこの品種に限った話ではない。ランドレースは、囲われた保存の仕組みを持たないまま世代を重ねてきたため、外からの遺伝子が入れば元には戻せない。品種名が遺伝的な同一性を保証しないという問題は、別記事でも扱った。

文化的意義

  • アフリカ南部のランドレースを代表する系統のひとつ。20 世紀後半に欧米へ持ち出され、「アフリカのサティバ」として認識されるきっかけになった品種群に属する
  • 現地では 換金作物としての側面も持ち、農村の生計と結びついてきた。エスワティニでは大麻の栽培・所持は違法だが、それでも栽培が続いてきたという構図がある
  • THCV を含む系統として、成分研究の対象になることがある。商業育種が THC に集中してきたなかで、ランドレースが別の成分の供給源になりうることを示す例でもある

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Swazi Gold は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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