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品種図鑑 CBD 優位 Type II (THC・CBD 同比)

Cannatonic — 「CBDの女王」と呼ばれた高CBD品種の起点

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品種データシート

系統
CBD 優位
化学型
Type II (THC・CBD 同比)
THC
6-15%
CBD
6-17%
由来
スペイン・バルセロナの Resin Seeds が2008年に発表
成立年
2008
親系統
MK Ultra × G13 Haze
主要テルペン
#myrcene#limonene#pinene
風味
柑橘ほのかな甘さ
効果傾向
穏やかなリラックス気分の高揚筋緊張のやわらぎ精神作用は控えめ

Cannatonic(カンナトニック)は、スペイン・バルセロナの種苗会社 Resin Seeds2008 年に発表した品種である。MK Ultra を母、G13 Haze を父として交配された。

この品種が特別なのは、CBD と THC がほぼ 1:1 という組成を、当時としては珍しく安定して示したことにある。育種元はこれを 「CBD の女王(CBD Queen)」 と呼んでいる。

本サイトの品種図鑑にある ACDC は、この Cannatonic の表現型から選抜されたものだ。つまり Cannatonic は、高 CBD 品種という系譜の起点にあたる。

ひとことで言うと

「酔わせないための大麻」を最初に形にした一株。嗜好用の育種が THC を追いかけていた時代に、逆方向へ振れた品種。

概要

2008 年、バルセロナで開かれる欧州最大の大麻見本市 スパンナビス(Spannabis) に、Resin Seeds はこの品種を持ち込んだ。検査に出したところ、当時の常識からすると異例に高い CBD 値が出た——というのが、この品種をめぐって語られる始まりである。

当時の育種の主流は、THC をいかに高めるかだった。CBD は「THC が足りない株の指標」程度に扱われることさえあった。そこに、CBD が THC と同等に含まれる株が現れた。

なぜそれが重要だったのか

**CBD には THC のような強い精神作用がない。**そして、両者が同程度含まれる株では、CBD が THC の作用の出方に影響するとも言われてきた。

このため Cannatonic は、「作用を強く感じたくない使い方」を求める層に受け入れられた。2010 年前後の北米で、医療目的の利用者や研究者が高 CBD 品種を探し始めた時期と重なる。Charlotte’s WebHarlequin、そして ACDC と並んで、この時期の医療大麻シーンを形づくった品種として語られる。

CBD そのものについては「CBD とは」も参照。

形態と特徴

  • 系統バランス: ハイブリッド。ただしこの品種で意味を持つのは系統より 化学組成のほう
  • 見た目: 中程度の締まりのつぼみ。THC 優位品種ほど樹脂が厚くはならないことが多い
  • 香り: 土 × 柑橘 × 木。奥にほのかな甘さがあると表現される

化学組成

ここがこの品種の中心である。

カンナビノイド

  • Δ9-THC: 6〜15% と幅が大きい
  • CBD: 6〜17% と、こちらも幅が大きい

化学型は多くの場合 Type II(THC と CBD が同程度) に分類される。ただし 個体差が非常に大きい品種で、種子から育てると CBD 優位(Type III)寄りの株から THC 寄りの株まで出てくる。

**この「ばらつき」こそが、後の展開を生んだ。**Cannatonic の種子から極端に CBD 優位な個体を選び出したのが ACDC であり、そこでは CBD:THC が 20:1 以上という組成にまで振り切っている。

同じ品種名でも組成が一定しないという性質は、大麻という植物の遺伝的なばらつきの大きさを示す例でもある(この点は別記事「『インディカ=眠い』は本当か」でも扱っている)。

主要テルペン

テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Cannatonic で報告される主なものは次のとおり:

  • ミルセン(myrcene): 土っぽさとわずかな果実感。この品種で最も多いとされる
  • リモネン(limonene): 柑橘の明るさ
  • ピネン(pinene): 松のような清涼感

テルペンと受容体の関係は「テルペンとカンナビノイド受容体活性化(前臨床研究)」も参照。

効果プロファイル(報告されている傾向)

CBD の比率が高い品種として、以下の傾向が報告されている:

  • 精神作用は控えめで、THC 優位品種のような強い酩酊感は報告されにくい
  • 穏やかなリラックスと、気分の軽い高揚
  • 筋の緊張がやわらぐという報告
  • 作用の持続が 比較的短いとされる

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • 痛み
  • 筋の痙攣
  • 不安
  • 片頭痛

**ただし、これらは確立された治療効能ではない。**CBD を含む大麻製品について、特定の疾患への治療効果が大規模臨床試験で確立されているのは、難治性てんかんに対する医薬品(CBD 製剤) など限られた範囲にとどまる。品種としての Cannatonic に治療効能が認められているわけではない。

副作用(報告されているもの)

  • 口渇
  • 軽いめまい
  • THC 側の比率が高い個体では、THC 品種と同様の作用が出ることがある

派生・関連品種

  • 親系統: MK Ultra(インディカ優勢)と G13 Haze
  • 直接の派生: ACDC。Cannatonic の種子から、北カリフォルニアで極端に CBD 優位な個体が選抜されたもの
  • 同時期の高 CBD 品種として Charlotte’s WebHarlequin と並べて語られる

文化的意義

  • 育種の方向を反転させた品種。THC を高める競争が続いていた時期に、CBD を残すという選択肢を市場に示した
  • 検査という道具の意味を変えた一例でもある。成分分析にかけて初めて価値が分かる品種であり、「見た目や香りで選ぶ」時代から「数値で選ぶ」時代への移行を象徴している
  • 一方で、同じ名前でも組成が一定しないという問題も同時に持ち込んだ。CBD 目的で買った株が THC 寄りだった、ということが起こりうる。品種名だけでは組成を保証できないという、今も続く課題の出発点でもある

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。CBD を含む製品であっても、THC の残留限度値を超えるものは規制対象である。Cannatonic は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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