品種図鑑 — CBD 優位 — Type II (THC・CBD 同比)
Cannatonic — 「CBDの女王」と呼ばれた高CBD品種の起点
文責 HighWide Yuuki ·
品種図鑑 — CBD 優位 — Type II (THC・CBD 同比)
文責 HighWide Yuuki ·
品種データシート
Cannatonic(カンナトニック)は、スペイン・バルセロナの種苗会社 Resin Seeds が 2008 年に発表した品種である。MK Ultra を母、G13 Haze を父として交配された。
この品種が特別なのは、CBD と THC がほぼ 1:1 という組成を、当時としては珍しく安定して示したことにある。育種元はこれを 「CBD の女王(CBD Queen)」 と呼んでいる。
本サイトの品種図鑑にある ACDC は、この Cannatonic の表現型から選抜されたものだ。つまり Cannatonic は、高 CBD 品種という系譜の起点にあたる。
「酔わせないための大麻」を最初に形にした一株。嗜好用の育種が THC を追いかけていた時代に、逆方向へ振れた品種。
2008 年、バルセロナで開かれる欧州最大の大麻見本市 スパンナビス(Spannabis) に、Resin Seeds はこの品種を持ち込んだ。検査に出したところ、当時の常識からすると異例に高い CBD 値が出た——というのが、この品種をめぐって語られる始まりである。
当時の育種の主流は、THC をいかに高めるかだった。CBD は「THC が足りない株の指標」程度に扱われることさえあった。そこに、CBD が THC と同等に含まれる株が現れた。
**CBD には THC のような強い精神作用がない。**そして、両者が同程度含まれる株では、CBD が THC の作用の出方に影響するとも言われてきた。
このため Cannatonic は、「作用を強く感じたくない使い方」を求める層に受け入れられた。2010 年前後の北米で、医療目的の利用者や研究者が高 CBD 品種を探し始めた時期と重なる。Charlotte’s Web、Harlequin、そして ACDC と並んで、この時期の医療大麻シーンを形づくった品種として語られる。
CBD そのものについては「CBD とは」も参照。
ここがこの品種の中心である。
化学型は多くの場合 Type II(THC と CBD が同程度) に分類される。ただし 個体差が非常に大きい品種で、種子から育てると CBD 優位(Type III)寄りの株から THC 寄りの株まで出てくる。
**この「ばらつき」こそが、後の展開を生んだ。**Cannatonic の種子から極端に CBD 優位な個体を選び出したのが ACDC であり、そこでは CBD:THC が 20:1 以上という組成にまで振り切っている。
同じ品種名でも組成が一定しないという性質は、大麻という植物の遺伝的なばらつきの大きさを示す例でもある(この点は別記事「『インディカ=眠い』は本当か」でも扱っている)。
テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Cannatonic で報告される主なものは次のとおり:
テルペンと受容体の関係は「テルペンとカンナビノイド受容体活性化(前臨床研究)」も参照。
CBD の比率が高い品種として、以下の傾向が報告されている:
医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:
**ただし、これらは確立された治療効能ではない。**CBD を含む大麻製品について、特定の疾患への治療効果が大規模臨床試験で確立されているのは、難治性てんかんに対する医薬品(CBD 製剤) など限られた範囲にとどまる。品種としての Cannatonic に治療効能が認められているわけではない。
日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。CBD を含む製品であっても、THC の残留限度値を超えるものは規制対象である。Cannatonic は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。
出典 — Sources
この記事がよかったら
この記事をシェア
Related
基礎知識 · 主な成分
精神作用を持たないカンナビノイド CBD。発見の歴史、複雑な作用機序、Epidiolex などの医薬品応用、薬物相互作用、日本における製品規制を整理する。
いいね
基礎知識 · 主な成分
生の大麻草に THC はほとんど含まれない。「酸性型」(THCA、CBDA)が加熱で「活性型」(THC、CBD)に変わる脱炭酸反応の仕組みを整理する。
いいね
ニュース · 医療·米国
CBDやCBGを使った人は、抗がん剤による神経障害の診断を受ける確率が約84%低かった——米ペン州立大の解析。ただし比較の相手は「神経障害の薬を処方された人」だった。同じ問いを扱った無作為化試験は、主要評価項目で差を出していない。
いいね
論文解説 · 医療·スイス
ジュネーブの長期療養施設5か所で行われた二重盲検クロスオーバー試験。主要評価項目である興奮スコアはプラセボと差がつかなかった。一方で副次評価項目の『頓服の向精神薬の使用回数』は有意に少なかった(Age and Ageing, 2026)。
いいね
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。
リンクや売買・勧誘とみなされる投稿、他者を傷つける表現はご遠慮ください。投稿は公開されます(不適切なものは削除される場合があります)。