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品種図鑑 — ハイブリッド — Type I (THC 優位)

Animal Cookies — 優勝した GSC に Fire OG を掛けた株

文責 ·

品種データシート

系統
ハイブリッド
化学型
Type I (THC 優位)
THC
20-27%
CBD
<1%
由来
カナダ。B.C. Bud Depot による作出。2013 年のカンナビスカップで優勝した GSC のカットを使用
親系統
Girl Scout Cookies × Fire OG
主要テルペン
#caryophyllene#humulene#myrcene
風味
クッキー生地チェリーバニラ土
効果傾向
多幸感深いリラックス眠気食欲の増進

Animal Cookies(アニマル・クッキーズ)は、Girl Scout Cookies(GSC) と Fire OG を掛け合わせたハイブリッドである。Animal Crackers の名でも流通する。

昨日扱った Animal Mints の親であり、Apple Fritter の親でもある。つまり現代の品種名に並ぶ「Animal」は、すべてこの一本から出ている。

ひとことで言うと

既に優勝していた株を、さらに強い OG で押した交配。素材選びの時点で勝負がついている、という種類の品種である。

そして 作出したのはカナダの種苗会社で、米国の「クッキー系」の中心にいた集団ではない。

生まれ方

育成元は B.C. Bud Depot。カナダのシードバンクである。

使われた母株は、ただの GSC ではない。2013 年にロサンゼルスで開かれた High Times Medical Cannabis Cup で優勝したカットだと説明されている。

そこに掛けられたのが Fire OG の Bx3——OG Kush の表現型のなかでも特に強いとされる系統を、3 回戻し交配して固定したものである。

すでに評価の確定した GSC に、OG 系で最も重い部類を重ねる。 目的がはっきりした交配だといえる。

育成元と「Cookie Family」の関係

ここは混同しやすいので分けておく。

誰が作ったか
Girl Scout Cookies米国の Cookie Family(Cookie Fam)集団
Animal Cookiesカナダの B.C. Bud Depot

Animal Cookies は Cookie Fam が作った株ではない。 Cookie Fam が作った GSC を 材料として使った、別の会社の交配である。

当サイトでも Gelato の記事で「Animal Cookies が Cookie Fam 由来」と読める書き方をしていたため、あわせて修正した。遺伝的に GSC を含むことと、Cookie Fam が作ったことは別である。

原株はクローン限定だった

Animal Cookies の原株は クローン(挿し木)でしか受け渡されない株として広まった。種子では手に入らない、という状態が続いたことになる。

これに対して Seed Junky Genetics が Animal Cookies Bx1 を作っている。原株に掛け戻して種子化したもので、クローンを持っていない栽培者でも Animal Cookies の性質に手が届くようにするための株である。

つまり市場には、

  • 原株のカット(B.C. Bud Depot 由来、クローン限定)
  • Bx1 の種子(Seed Junky による戻し交配)

の二系統が流通している。同じ「Animal Cookies」でも、どちらを指しているかで中身が違う。

形態と特徴

  • 系統バランス: インディカ寄りとされることが多く、75:25 と紹介される。ただしこの比率は販売情報に由来するもので、遺伝学的な測定値ではない。資料によっては「ややサティバ寄り」とするものもある
  • 開花期間: 屋内で 9〜10 週
  • 香り: クッキー生地 × チェリー × バニラに、土と胡椒。GSC の甘さに、OG 側の重さが乗る
  • 見た目: 締まった花穂に厚く樹脂がのる

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: おおむね 20〜27%
  • CBD: 1% 未満

化学型は Type I(THC 優位) に分類される。

ただし数値の出どころには幅がある。育成元が示している検査(Analytical 360)では、ある検体で 20% をわずかに上回る値だった。一方、品種データベースの集計では 20〜27%、販売店によっては 19% と記載するものもある。測定条件は統一されていないため、上限だけを取り出して品種間で比較することはできない。

主要テルペン

テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Animal Cookies で報告される主なものは次のとおり:

  • β-カリオフィレン(caryophyllene): 胡椒のようなスパイス感
  • α-フムレン(humulene): ホップにも含まれる、土や木を思わせる含み
  • β-ミルセン(myrcene): 土やハーブを思わせる含み

フムレンが上位に来るのがこの品種の特徴として挙げられる。クッキー系では リモネンが前に出る株が多いなかで、やや異なる並びになる。

なお、品種表示に載る「主要テルペン」は大幅に要約された情報である。ある研究では 6 品種から 227 種の揮発性テルペンが検出され、うち相対存在量 1% を超えたのは 22 種だった(「大麻から227種類のテルペンが検出された」参照)。

効果プロファイル(報告されている傾向)

以下の傾向が報告されている:

  • 立ち上がりは 速く、頭が高揚する方向
  • そこから 身体が重くなる方へ移行するという報告が多い
  • 最終的に 鎮静・眠気が前に出る
  • 食欲の増進が挙げられる

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • 痛み
  • 不眠
  • ストレス・気分の落ち込み
  • 食欲の低下

これらは Δ9-THC の薬理作用と、テルペン構成の組み合わせとされる。大規模臨床試験で確立された治療効能はない。販売サイトには特定の症状に「適している」と断定する記述も見られるが、その裏づけとなる臨床試験は確認できない。

副作用(報告されているもの)

  • 口渇・眼の乾燥
  • めまい
  • 高 THC 品種であるため、多量摂取時の不安感が出ることがある

派生・関連品種

Animal Cookies の重要性は、何を作る材料になったかにある。

  • Animal Mints(Animal Cookies × SinMint Cookies)——ここから Wedding Cake、さらに Ice Cream Cake へつながる
  • Apple Fritter(Sour Apple × Animal Cookies)
  • Animal Cookies Bx1 / Bx2(戻し交配)
  • Animal Gas、Animal Sherbert、Circus Animal、LA Pop Rocks など

「Animal」を名前に持つ現代の品種——Animal Mints、Animal Face、Animal Walker、Animal Sherbert——は、たどればすべてここに行き着く。

文化的意義

  • 「材料を買ってくる」育種の例。B.C. Bud Depot は GSC を自分で作ったわけではない。すでに評価の定まった他社の株を使い、自社の Fire OG を掛けた。現代の品種改良では、こうした組み合わせのほうが主流である
  • カナダ発の株が、米国のクッキー系譜の中核に入った例でもある。品種の系譜は国境で区切られていない
  • 名前の接頭辞が系統になった珍しいケース。「Animal」で始まる品種が密集した結果、Animal Cookies と Animal Mints が資料ごとに取り違えられるという問題が起きている。当サイト自身も Wedding Cake の記事で両者を混同しており、Animal Mints の記事を書いた際に修正した。品種名と遺伝的な実態のずれについては、別記事「大麻の苗1本に2万ドル」でも扱った

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Animal Cookies は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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