品種図鑑 — サティバ — Type I (THC 優位)
ヘイズ(Haze) — 子孫は無数、原株はもう見つからないサティバの源流
文責 HighWide Yuuki ·
品種図鑑 — サティバ — Type I (THC 優位)
文責 HighWide Yuuki ·
品種データシート
Haze(ヘイズ)は、サティバ系の大麻の源流とされる品種である。Original Haze とも呼ばれる。
当サイトの品種図鑑では、これまでに 10 を超える品種の親や祖先として名前が出てきた。Super Silver Haze、Jack Herer、Blue Dream、Purple Haze、Strawberry Cough——いずれも系譜をたどると Haze に行き着くとされる。
それなのに、原株はもうほとんど見つからない。
子孫が世界中にあふれているのに、本体は消えかけている株。理由ははっきりしていて、育てるのが大変すぎたからである。
花が咲き終わるまでに 4 か月以上かかる。背丈は大きく伸び、収量は少ない。商品として扱いやすい性質ではなかった。だから Haze は「そのまま育てる品種」ではなく、**ほかの品種に性質を渡す「材料」**として生き延びた。
そして来歴は、ほぼすべてが 口伝である。
広く語られている話はこうだ。
1960 年代末から 1970 年代初頭、米国カリフォルニア州の海辺の町 サンタクルーズ。**「Haze Brothers(ヘイズ兄弟)」**と呼ばれる二人が、各地から持ち込まれた ランドレース(その土地で長く育てられてきた在来の系統)を掛け合わせた。
兄弟は R. Haze と J. Haze と記されることが多いが、これは 偽名である。本名は公にされていない。
年代も、材料も、一致していない。
| よく語られる説 | 別の説 | |
|---|---|---|
| 年代 | 1970 年代初頭 | 1960 年代(Leafly) |
| 材料 | メキシコ × コロンビアの交配に タイを重ね、最後に 南インドの雄株を掛けた | コロンビアの在来系統 3 つだけから作った(Leafly の系譜解説) |
複数の資料が、Haze の来歴は文書ではなく、栽培者のあいだの言い伝えで受け継がれてきたと断っている。どれが正しいかを確かめる手段は、現時点ではない。
ランドレースとは何かについては、コラム「ランドレースとは何か——土地が育てた大麻の”原種”」も参照。
Haze の最大の特徴は、とにかく時間がかかることである。
赤道に近い土地のサティバの性質を色濃く残しているため、秋が早く来る緯度の高い地域では、屋外で花を咲かせきれない。カリフォルニアの栽培者にとっても扱いが難しく、ある資料は 1970 年代末には忘れられかけていたと書いている。
Haze を救ったのは、ある人物の移住だった。
サム・ザ・スカンクマン(本名 David Watson)。Skunk #1 を作った育種家として知られる人物で、Haze 兄弟と接点があり、Haze の遺伝資源を手にしていたとされる。
1980 年代(1984 年とする資料もある)、彼は オランダへ移り、Haze を含む大量の種子を持ち込んだ。そこで Haze を受け継いだのが、オーストラリア出身の育種家 ネヴィル・ショーンメーカーズである。彼の種子会社 The Seed Bank は、のちに Sensi Seeds へとつながっていく。
ネヴィルが作った Neville’s Haze は、Haze の系統の一つ(Haze A)に Northern Lights #5 を掛け、さらに別の Haze 系統(Haze C)を重ねたものとされる。Haze に Northern Lights を足して、育てやすさを補う——この組み合わせ方は、のちの Haze 系品種の定番になった。
いま「Haze」という言葉は、1 つの株の名前というより、一族の名前として使われている。数百の品種が名前に Haze を含む。
そのため、名前に Haze とついていても、Original Haze の直系とは限らない。
同じ言葉が、系譜を示す場合と、「サティバらしい」という性格を示すラベルとして使われる場合がある。品種名と遺伝的な実態のずれは、Haze に限らずこの分野の共通の問題である。
原株の検査値は残っていない。 Haze が生まれた 1970 年前後には、市販品の成分を検査する制度がなかった。現在「Haze」として流通しているものの数値は、それぞれ別の系統の値である。
化学型は Type I(THC 優位) と考えられる。
テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Haze で挙げられる主なものは次のとおり:
ただし どれが主役かは資料によって割れている。テルピノレンを筆頭に挙げるもの、リモネンを挙げるもの、ミルセンを挙げるものがある。どの株を測ったかで結果が変わるため、確定的なことは言えない。
なお テルピノレンは、品種表示ではあまり見かけない成分だが、6 品種をまたいで分析したある研究では 上位 5 種に入っていた(「大麻から227種類のテルペンが検出された」参照)。
サティバの典型として、以下の傾向が語られてきた:
ただし原株がほぼ失われているため、これらは Haze 系の品種全体について語られてきた傾向として読むのが正確である。大規模臨床試験で確立された効能はない。
Haze の重要性は、何を作る材料になったかにある。
日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Haze は嗜好用・医療用が合法な地域で語られてきた品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。
出典 — Sources
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