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品種図鑑 — ハイブリッド — Type I (THC 優位)

ファイヤーOG(Fire OG) — 同じ名前の系統がいくつもある、Animal Cookiesの父

文責 ·

品種データシート

系統
ハイブリッド
化学型
Type I (THC 優位)
THC
20-25%
CBD
<1%
由来
米国カリフォルニア州。育種家 OG Raskal が広めたとされる。作出の経緯と年代には諸説
親系統
OG Kush × SFV OG Kush
主要テルペン
#limonene#myrcene#caryophyllene
風味
レモン燃料松湿った土
効果傾向
多幸感身体の重さ深いリラックス食欲の増進

Fire OG(ファイア・オージー)は、OG Kush と SFV OG Kush を掛け合わせたとされる、カリフォルニアの OG 系のハイブリッドである。Fire OG Kush とも呼ばれる。

当サイトでは、Animal Cookies の父として名前が出てきた。Triangle Kush、Animal Mints、Animal Cookies とたどってきた系譜の、最後の空白である。

ところが調べてみると、「Fire OG」は 1 つの株の名前ではなかった。

ひとことで言うと

同じ名前で、育成元ごとに別々の系統が出回っている OG。品種データベースの SeedFinder には、少なくとも 5 つの育成元の Fire OG が登録されている。Animal Cookies の親になったのは、そのうち **B.C. Bud Depot の「Fire OG Bx3」**という版である。

名前は 雌しべの燃えるような赤橙色から来ているといわれる。

生まれ方——説は少なくとも 3 つある

Fire OG の来歴は、OG 系の多くの株と同じく 口伝が中心で、資料が揃っていない。

① OG Raskal が名付けた説

「OG Raskal」(マイクと呼ばれる育種家)が、「Ogee Kush」という名で出回っていたカットを譲り受け、気に入って Fire OG と名付けた、とする話。ただしこの「Ogee Kush」について、ほかの資料で裏づけは見つからなかった。

② The Cali Connection の Swerve が交配した説

種子会社 The Cali Connection の育種家 Swerve が、自社の SFV OG Kush(SFV OG × Afghani #1)を、Raskal が持っていた OG Kush の「Fire」と呼ばれるカットと掛け合わせた、とする話。

③ OG Kush の自家交配、あるいは別の交配とする説

OG Kush を自家受粉させたもの(S1)だとする説や、Chemdawg など別の品種との交配だとする説もある。

年代についても、1990 年代初頭とするものと 2000 年代初頭とするものがある。

もっとも多く見られる説明は **「OG Kush × SFV OG Kush」**で、①と②はどちらもこの組み合わせと矛盾しない。ある資料は、話しているのが「クローン(カット)」なのか「系統」なのか「後に出た種子版」なのかで、帰属が変わってしまうと指摘している。Fire OG の来歴が錯綜しているのは、そのためだといえる。

Triangle Kush とのつながり

OG Raskal は、フロリダ州タンパから「Triangle Kush」の名でロサンゼルスに持ち込まれた OG を、最初期に扱った一人だとされる。

当サイトの Triangle Kush の記事では、OG Kush と Triangle Kush が 1990 年代初頭のフロリダで同じ出来事から生まれたとする説を紹介した。Fire OG の名付け親とされる人物も、その フロリダから西海岸へ OG が渡った流れの中にいたことになる。

「Fire OG」は 5 つある

SeedFinder に登録されている主な Fire OG を並べると、こうなる。

育成元名称備考
OG Raskal GeneticsFire OG BX直接の子孫 37 が登録。Fire Glue(Gorilla Glue #4 × Fire OG)など
Relentless GeneticsFire OG(BX2)直接の子孫 19。Cheesy Fire OG(Cheese × Fire OG)など
B.C. Bud DepotFire OG Bx3Animal Cookies の父
The Cali ConnectionFire OG上記②の交配に関わる
Humboldt Seed CompanyFire OG直接の子孫 1

「Bx」は **戻し交配(バッククロス)**を表す。子を親に掛け戻して親の性質を濃くする操作で、Bx3 は それを 3 回重ねたという意味である。

つまり「Animal Cookies は GSC × Fire OG」と書くとき、正確には **「GSC × B.C. Bud Depot が 3 回戻し交配して固めた Fire OG」**を指している。ほかの育成元の Fire OG と同じものではない。

なお SeedFinder は利用者が情報を書き込むデータベースであり、系譜の記載は独立に検証されたものではない。子孫の数も、登録されている範囲での数字である。

形態と特徴

  • 系統バランス: インディカ寄りとされ、70:30 と紹介されることが多い。この比率は販売情報に由来するもので、遺伝学的な測定値ではない
  • 草姿: OG 系らしく ひょろりと縦に伸び、葉は細め、節と節のあいだが長い
  • 見た目: 明るい緑の花穂に 厚い樹脂。赤橙色の雌しべが目立つ
  • 開花期間: おおむね 9〜10 週(63〜70 日)
  • 香り: 鋭いレモン × 燃料(ディーゼル) × 湿った土 × 松。吸い込むと柑橘と燃料、吐く息では木の香りが前に出ると語られる

化学組成

カンナビノイド

  • Δ9-THC: おおむね 20〜25%(それ以上とする販売情報もある)
  • CBD: 1% 未満

化学型は Type I(THC 優位) に分類される。これらの数値は市販品の検査結果や品種データベースの集計に基づくもので、測定条件は統一されていない。しかも上の表のとおり、「Fire OG」として売られている株が どの育成元の系統かによって中身が違いうる。

主要テルペン

テルペンは植物が持つ香り成分で、品種ごとの香りの個性をつくる。Fire OG で報告される主なものは次のとおり:

  • D-リモネン(limonene): レモンの皮を思わせる鋭い柑橘
  • β-ミルセン(myrcene): 土やハーブを思わせる含み
  • β-カリオフィレン(caryophyllene): 胡椒のようなスパイス感

品種表示に載る「主要テルペン」は大幅に要約された情報である点については、「大麻から227種類のテルペンが検出された」も参照。

効果プロファイル(報告されている傾向)

OG 系の中でも 重い部類として語られることが多い:

  • 立ち上がりに 速い多幸感
  • そこから 身体の重さ・深いリラックスへ移行する
  • 食欲の増進が挙げられる
  • 夜間の時間帯に語られることが多い

医療文脈でユーザーレポートとして言及される症状:

  • 痛み
  • 不眠
  • ストレス
  • 食欲の低下

これらは Δ9-THC の薬理作用と、テルペン構成の組み合わせとされる。大規模臨床試験で確立された治療効能はない。

副作用(報告されているもの)

  • 口渇・眼の乾燥
  • めまい
  • 高 THC 品種であるため、多量摂取時の不安感が出ることがある

派生・関連品種

文化的意義

  • 「名前は同じ、中身は別」の典型。Fire OG は人気が出たことで、複数の育成元がそれぞれの版を出した。ラベルに「Fire OG」とあっても、どの Fire OG かは書かれていないことが多い。品種名と遺伝的な実態のずれについては、別記事「大麻の苗1本に2万ドル」でも扱った
  • OG Kush が西海岸に根づいた時代の株。フロリダから渡った OG を最初期に扱った人物の名と結びつき、その後のカリフォルニアの OG 系の一角を占めた
  • 現代の「クッキー系」の祖先でもある。Animal Cookies を通じて、Fire OG の血は 2010 年代後半以降の菓子の名を持つ品種群に入り込んでいる。当サイトでたどってきた Triangle Kush → Animal Mints → Wedding Cake の系譜は、Animal Cookies の父として Fire OG にも行き着く

日本国内における規制

日本国内では大麻草・大麻製品の 所持・使用・栽培・輸出入は大麻取締法および関連法令(現・大麻草の栽培の規制に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法)により規制 されている。Fire OG は嗜好用・医療用が合法な地域で流通する品種であり、本記事は文化的・植物学的な解説を目的としている。日本では所持・使用は違法であり、本記事は特定の使用を推奨するものではない。

出典 — Sources

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